可変長式インテークマニホールド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 20:42 UTC 版)
「インテークマニホールド」の記事における「可変長式インテークマニホールド」の解説
電子制御技術の発展により、エンジン回転域に応じて枝管の長さを切り替える可変長式インテークマニホールド(英: Variable Length Intake Manifold, VLIM)が実用化された。低回転域用の長くて細い枝管であるプライマリポートと、高回転域用の短くて太いセカンダリーポートの2系統を用意し、エンジンの回転速度に応じて集合部の出口に設けられたバルブで切り替える。管長の違いによってヘルムホルツ共鳴の周波数を切り替えるだけでなく、プライマリポートは管径を細くすることで吸入空気の流速を上げ、セカンダリポートは吸気抵抗を少なくするために太く作られている。切り替えバルブは複数設けられることがあり、2段階以上の可変長が可能な場合がある。 切り替えは必ずしも回転数のみで制御されているわけではなく、回転数とともに負荷によって変化する方式があり、この場合はどの回転数でも低負荷時は高回転域と同様の吸気管長の太く短い流路となることがある(トヨタACIS等)。また、単純に低回転域と高回転域での二段階の切り替えではなく、低・中・高回転域での三段階、もしくはそれ以上段階で制御する方式がある。これは切り替え部位が経路上に複数ある場合はそれぞれを切り替えることにより制御を行う。切り替え部位が1つで三段階の切り替えを行うケースでは、中回転域でのみ吸気管長を伸ばし、低回転域では高回転域と同様の制御とすることがある(ホンダR20A、スズキM16A等)。以上のように低回転域や低負荷時においても高回転域と同様の流路とすることがあるのは、流量が少なく管長が長いことにより抵抗がかえって大きくなる場合や、流路を開放し全体をサージタンクとすることで低回転時、低負荷時に増加する吸気脈動を吸収し安定化させるケースなどで有効に働く。このように可変長式であっても低回転域で必ず吸気管長が長くなっているとは限らず、また負荷によっても制御が異なることがある点は注意が必要となる。
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