古代~近世日本での「むし」や「虫」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 02:52 UTC 版)
「虫」の記事における「古代~近世日本での「むし」や「虫」」の解説
もともと大和言葉の「むし」がどんな範囲を指したのかについてははっきりしたことは分かっていない。大和言葉の「むし」と、中国から何度も渡来する「虫」などの文字、概念が重層的に融合したのでなかなか一筋縄では把握できない。 まむしと言う表現が古くからあるので、中国の漢字の「虫」同様に蛇類がむしの中のむしというとらえかたが(も)あったことは判る。 日本では《三尸の虫》(さんしのむし)というものの存在が信じられた。これは中国の道教に由来する庚申信仰(三尸説)。人間の体内には、三種類の虫がいて、庚申の日に眠りにつくと、この三つの虫が体から抜け出して天上に上がり、直近にその人物が行った悪行を天帝に報告、天帝はその罪状に応じてその人物の寿命を制限短縮するという信仰が古来からあり、庚申の夜には皆が集って賑やかに雑談し決して眠らず、三尸の虫を体外に出さないという庚申講が各地で盛んに行われた。 人々は人の体内に虫がいると信じそれがさまざまなことを引き起こすという考えを抱いていたのである。結果として次のような表現が日本語に定着している。 虫の知らせ 予感。体内にいる「虫」が、通常では知り得ないようなことや、遠方で起こる事件を予言してくれたように感じること。 腹の虫 腹の虫が治まらない : 不満が治まらないこと。 腹の虫が鳴く : 空腹で腹から音が出ること。 虫の居所が悪い 機嫌が悪いこと。体内にいる「虫」の居場所が落ち着かないと、その人の機嫌も悪くなると信じられていたことから。 虫が(の)いい 自分勝手なこと。 虫が(の)好かない 気に入らないこと。 獅子身中の虫 身内でありながら害をなす分子のこと。
※この「古代~近世日本での「むし」や「虫」」の解説は、「虫」の解説の一部です。
「古代~近世日本での「むし」や「虫」」を含む「虫」の記事については、「虫」の概要を参照ください。
- 古代~近世日本での「むし」や「虫」のページへのリンク