取調べについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 04:28 UTC 版)
海野義雄に対する東京地検特捜部の取調べは、海野が拘置された東京拘置所内の取調室で連日行われ、取調べ時間は1981年12月8日から12月23日まで1日平均8時間50分に及んだ。取調べが23時まで続いたこともあった。この時の検察官の行動について、海野の弁護人の一人だった石井吉一は、以下のように伝えている。 取調室内で、海野を再三にわたって大声で怒鳴りつけ、人格を侮辱する。 取調べで海野が収賄を否定すると、突然書類を机上に叩きつけ、定規で机上を叩く。(指に怪我をするのではないかと恐れて海野は手を引っ込めた。) ボールペンを海野の眼前まで近づけ振り回す。逃れようとする海野の後頭部を手で押さえ、ボールペンを瞳近くまで突きつける。 海野が腰掛けていたスチールパイプ製の椅子を突然足でけりつける(このため、海野が椅子から床に落ちて尻餅をつかされたこともあった)。 海野を取調室の壁に向かわせて顔が壁に着くほど接近させ、直立させ、そのまま立っているように命じる。 海野は以上の拷問行為を受けたと公判で供述したが、当の検察官はこれを全面的に否定し、「取調室で海野に体操してもいいと言ったが一度も体操しなかった」「取調べの時、自分が茶をこぼしたことがあったため、それを拭くまでのあいだ海野に立ってもらったことがあった」と主張した。これに対し、東京地裁は、そのような行為が「あったのではないかとの疑いが残るといわざるを得ない」と認めつつ「本件の事案の性質や複雑さなどに照らし、ある範囲で必要やむを得なかったものと認められ」「合理的に許容できる範囲を著しく越えたものと認めることはできない」と述べた。
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