取締役会に関する特例(重要財産委員会)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/17 14:35 UTC 版)
「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の記事における「取締役会に関する特例(重要財産委員会)」の解説
大会社またはみなし大会社のうちで取締役が10名以上おり、その内1名以上の社外取締役がいる場合には重要財産委員会を設けることができる(1の3第1項1号、2号)。日本の大企業では取締役会が肥大化する傾向にあり、意思決定の速度が遅くなりがちであった。そのため経営委員会や常務会といった比較的少数の取締役を集めた会議体を設けて経営の迅速化を図る例が多くなった。その一方で取締役会はそこで決まったことについて承認を与えるのが通常となり、実質的にその権限が委任された形になった。しかしこれら少数の取締役らによる会議体は商法上に根拠がないため、法的な責任の所在や権限が曖昧である。そこでこれらについて法的な枠組みを与えたのが重要財産委員会である。 重要財産委員会は、商法260条2項1号、2号に規定された重要な財産の処分、譲受け、多額の借財のうち、取締役会の決議によって委任された事項を決定することができる機関であった。これにより迅速な経営判断を可能とするのが狙いである。その一方で取締役会の監督機能を担保するなどして適正な経営を確保するための規制も設けられた。すなわち、重要財産委員会で決まったことは取締役会へ報告しなければならず、監査役の出席義務・意見陳述権など取締役会に関する規定が準用されている。 なお、21条の36第4項で重要財産委員会に関する規定が適用されない旨が規定されているため、重要財産委員会制度と委員会等設置会社制度(後述)は両立し得ない制度であった。
※この「取締役会に関する特例(重要財産委員会)」の解説は、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の解説の一部です。
「取締役会に関する特例(重要財産委員会)」を含む「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の記事については、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の概要を参照ください。
- 取締役会に関する特例のページへのリンク