取消しとの差異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 10:06 UTC 版)
無効と類似の概念としてよく比較されるのが取消しであり、以下の点で無効と異なるとされる。 意思表示の必要性・主張適格者 無効は当然に効力を生じないのに対し、取消しは効力が一応生じている法律行為につき法律で認められた取消権者が取消すことによって行為時に遡って効力を失うことになる点で異なる。無効は原則として誰からでも誰に対しても主張できる。 時間の経過 無効は原則として何時でも主張できる。無効な法律行為は時間が経過しても法律上の効果を生じることはないが、取り消すことができる法律行為は取消権が時効期間や除斥期間にかかって消滅すると取り消すことができなくなる。 追認による効果 無効と取消しは追認による効果も異なる。無効な行為は追認によってもその効力を生じないが、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときには新たな行為をしたものとみなされて追認時から効力を生じることになる(民法119条)。これに対して、取り消すことができる行為は、法律で認められた追認権者が追認したときは法律行為の時から確定的に有効なものであったことになり以後は取り消すことができなくなる(民法122条)。 特定の法律行為を無効にするか取り消すことができるとするかは立法政策の問題である。通常、無効とされるのは、客観的・社会的理由から個人の意思を問題にすることなく、その法律行為の内容を裁判所によって実現することを否定すべき場合である。 一個の法律行為が無効の要件も取消しの要件も満たすときは、原則としてどちらを主張することもできる。 このほか無効と類似の概念として、撤回、解除、解約などがあるが、それぞれの概念については各項目を参照。
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