原則と実務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 04:59 UTC 版)
日本国憲法第82条1項が定める裁判の公開の原則を実効的なものとするため、民事訴訟法は口頭主義を採用しており、同法第87条第1項本文は、判決で終局する争訟は口頭弁論を経なければならないと定める(必要的口頭弁論)。 決定で終結する事件は口頭弁論を開催するかどうかは裁判所の裁量(任意的口頭弁論)に任せられ、必ずしも口頭弁論は開かれない。 口頭弁論においては、理念的には、口頭主義の要請からその字義どおり口頭で弁論を行うことが想定されている。しかし、現実には複雑な争点について口頭のみで訴訟活動を行うことは困難であるため、口頭弁論期日に先立って準備書面を提出することで口頭弁論を準備することが定められている(民訴法罤161条第1項)。必要的口頭弁論の原則からは、準備書面の内容を口頭弁論期日において改めて陳述する必要があることになるが、実務的には準備書面の内容を逐一読み上げることはせず、当事者(代理人含む)が単に「陳述します」と一言述べることで陳述したものとして扱う運用が定着している。 口頭弁論期日を設けても、実際にはその日には他に何もせず裁判官による判決言渡しのみを行うこともある(民事訴訟法251条1項)。 口頭弁論期日だけの続行では審理が遅延するため、現在の民事訴訟法では、準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続を創設し、争点整理に活用することにした。弁論準備手続は旧民事訴訟法で明文規定がないまま実施されていた弁論兼和解を正式の準備手続として明確にした手続である。
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