半群準同型と半群合同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:06 UTC 版)
半群の準同型 (semigroup homomorphism) とは半群構造を保つ写像のことである。二つの半群 S, T の間の写像 f: S → T が準同型であるとは、等式 f(ab) = f(a)f(b) が S の各元 a, b に対して成立するときに言う。つまり(S の中で)積をとってから f で写しても、f で写してから(T のなかで)積をとっても同一の結果が得られる。(半群が単位元を持ち、モノイドとなる場合であっても)半群準同型は必ずしもモノイド準同型とならなくてもよい。 ふたつの半群 S, T が互いに同型であるとは、全単射な半群準同型(すなわち半群同型写像)f: S ↔ T が存在することを言う。同型な半群は、半群として同一の構造を持つ。 半群合同 (semigroup congruence) ∼ は、半群演算に両立する同値関係である。つまり、半群合同 ∼ (⊂ S × S) は S 上の同値関係であって、かつ [x ∼ y かつ u ∼ v] ならば xu ∼ yv が S の任意の元 x, y, u, v に対して成立するものを言う。任意の同値関係と同じく半群合同 ∼ は合同類 [ a ] = { x ∈ S ∣ x ∼ a } {\displaystyle [a]=\{x\in S\mid x\sim a\}} を定めるが、さらに合同類の間の二項演算 ∘ を [ u ] ∘ [ v ] = [ u v ] {\displaystyle [u]\circ [v]=[uv]} で定めるとこれは矛盾無く定義できて半群演算となる。これにより、半群合同 ∼ による合同類の全体 S/∼ は ∘ を演算として半群を成す。この半群を剰余半群 (residue class semigroup)、商半群 (quotient semigroup, factor semigroup) などと呼ぶ。自然な写像 S → S / ∼ ; x ↦ [ x ] {\displaystyle S\to S/{\sim }\,;\;x\mapsto [x]} は全射な半群準同型であり、商写像などと呼ばれる。S がモノイドならばその剰余半群は S の単位元の属する合同類を単位元とするモノイドを成す。逆に、任意の半群準同型の核は半群合同を与える。これらの結果は、普遍代数学における第一同型定理の特別な場合にほかならない。 半群の任意のイデアル I は、 x ρ y ⟺ x = y or x , y ∈ I {\displaystyle x\,\rho \,y\iff x=y{\text{ or }}x,y\in I} で定まる半群合同 ρ に関するリース剰余半群(英語版)として部分半群を誘導する。 「正規部分群」、「剰余群」、「環のイデアル」、および「剰余環」も参照
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