北パタゴニアのアンデス地域の湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/02 04:01 UTC 版)
「深部クロロフィル極大」の記事における「北パタゴニアのアンデス地域の湖」の解説
パタゴニア北部のアンデス山脈地域に分布する湖は、大きな深い湖と小さな浅い湖の2種類に分けることができる。これらの湖は同じ地域にあるものの、異なる環境条件を示し、DCMにおける種の組成も異なることが知られている。大きな深い湖は超貧栄養であり、DOCと栄養素が少なく、水質も非常に透明である。そして、浅い湖でよく見られる均一な水温プロファイルとは異なり、深い湖は春の終わりから夏にかけて、強い水温成層が作られる。2種の湖の間では、光の減衰係数も異なっており、透明で深い湖では低くなり、すなわちより多くの光を透過させることができる。 そのため、2つの湖タイプにおけるDCMコミュニティの違いは、光条件が大きな要因であると考えられている。浅い湖は、深い湖よりも溶解した黄色粒子の濃度が高く、そのため、深い湖では最大吸収波長は主にスペクトルの赤の端にあるのに対し、浅い湖では赤に加えて緑と青の吸収波長が示された。 大きな深い湖のDCM領域では、混合栄養繊毛虫Ophrydium naumanniが優勢であることが報告されている。この生物の光合成能力は内部共生藻クロレラに由来しており、特に劣悪な光条件環境においてより優位になることができる。また、この繊毛虫は不足する栄養素を捕食栄養により外部から獲得することもできる。浅い湖では、おそらく植物プランクトンとの競争や水の乱流の強さのために、O. naumanniがほとんど存在しない。
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