北の館の罪人
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初出:『小説新潮』2008年1月号。泡坂妻夫著『煙の殺意』収録の「椛山訪雪図」のオマージュ。 千人原地方に居を構え、紡績から製薬会社への変遷の中で財を成した六綱家前当主・虎一郎の愛人だった亡き母の遺言に従い、六綱家の屋敷に身を寄せた内名あまり。現当主の光次から屋敷の別館、通称北の館に小間使いとして住むように言いつけられたあまりは、別館に住む長男・早太郎の世話及び監視を命じられる。しばらくしてあまりは早太郎からビネガーや画鋲、糸鋸、卵など目的の見えない買い物を頼まれる。早太郎からのお使いをこなしていくあまりは、その過程で北の館が六綱家の「歪み」を隠してきたという謂れ、そんな場所に早太郎が隔離された理由を知っていく。やがて、季節が進むにつれ体調を崩し次第に弱っていく早太郎。そして最後の瞬間、早太郎があまりに頼んだ買い物の真意が明らかとなる。 内名 あまり(うちな あまり) 六綱家前当主・虎一郎の妾の子。母の遺言で六綱家に身を寄せ、その前は転々と仮住まいをし、ミルク配達や女給、鼠駆除など働き詰めの生活をしていた。 六綱 早太郎(むつな そうたろう) 虎一郎の長男で北の館の住人。細長く病的な印象を与える男性。気分屋な性格で、些細なことで機嫌を害しやすいが、基本的にはあまりに優しく語りかける。 六綱 光次(むつな こうじ) 六綱家現当主。虎一郎の次男。厳格な態度の冷静な性格。ドラスティックに物事を遂行する辣腕を振るう切れ者で、「殺人者は赤い手をしている、しかし彼らは手袋をしている」という持論を持つ。 六綱 詠子(むつな よみこ) 虎一郎の長女で早太郎と光次の妹。「バベルの会」に所属している女子大生。最初はあまりを妾の子として侮辱していたが、あまりの母の死を知り態度を改める。
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