化学と薬理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 19:14 UTC 版)
大麻は自生している状態ではテトラヒドロカンナビノール(THC)を含んでおらず、THCになる前のテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)の形で含有されている。そのため大麻が精神作用を持つには、脱炭酸化によってTHCAをTHCに変換しなければならない。THCAがTHCに分解され、そこからさらにカンナビノールに分解され、葉や茎などに蓄えられる。THCAは熱することで急速に(完全にではないが)脱炭酸化される。 大麻の摂取方法のうち、消化管から吸収される経口投与と、肺などの粘膜から吸収される喫煙の効果を比較することは容易ではない。なぜなら、条件が違い過ぎて、推定される誤差が多過ぎるからである。喫煙であれば、吸う本数や時間、煙を吐く感覚、口に含んでいる時間、吸う人の肺の大きさなどは、全て摂取の効果に影響を与える。食事についていうと、経口摂取するためにカンナビノイドを溶解した媒体が何かによって、カンナビノイドの吸収率に影響を受けるし、初回通過効果による代謝能力も人によって異なる。 とは言え、一般的には、経口摂取の方が血管に入る前に消化器官と肝臓を通過するため、大麻を燃やして蒸気を空気中から吸い込むことに比べると、経口摂取されたカンナビノイドはより時間をかけて吸収される。また、量が同じであれば、経口摂取の方が、血中濃度が高まるのも遅く、最高血中濃度も低い。ただし、経口摂取の場合は、生理作用の発現も遅くなる。さらに、経口投与の場合、腸肝循環が起こるため、最高血中濃度に達した後、血中濃度が低下し始めてから、再び血中濃度が上昇し、それから血中濃度が低下してゆくという、いわゆる2峰性のピークが血中濃度の変化に現れる。また、テトラヒドロカンナビノールを経口摂取した場合は、肝臓での代謝によって、そのほとんどが11-ヒドロキシ-THCに変換される。
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