創作の人物と宗十郎頭巾
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「宗十郎頭巾」の記事における「創作の人物と宗十郎頭巾」の解説
『梅の由兵衛』のほかにも、『青砥稿花紅彩画』(白浪五人男)の二幕目「雪の下浜松屋の場」で謎の武士・玉島逸当実ハ盗賊首領・日本駄右衛門が着用しているものや、『三人吉三巴白浪』(三人吉三)の二幕目「本所お竹蔵の場」でお坊吉三がかぶっているものなどが、歌舞伎に登場する宗十郎頭巾として特に名高い。 しかし、宗十郎頭巾の名を一般家庭にまで広めたのは『鞍馬天狗』だった。昭和10年(1935年)に大佛次郎が発表したシリーズ第18作の小説『宗十郎頭巾』とそれを原作とした昭和11年(1936年)公開の新興キネマ映画『御存知鞍馬天狗 宗十郎頭巾』はどちらも大ヒットとなり、特に映画のなかで主演の嵐寛寿郎が見せた鞍馬天狗の姿は不動のイメージとして以後定着するにいたった。 鞍馬天狗の宗十郎頭巾は、微行のためというよりも、むしろ逆に目立った活躍をするためにあえてその正体を隠すという設定によるものだが、同シリーズが子供たちのあいだで絶大な人気を確立するに及んで、この「宗十郎頭巾で正体を隠した白塗りの正義の味方」という関係がひとつの構図として定着していった。 当時チャンバラ遊びで正義の味方といえば鞍馬天狗だった。その鞍馬天狗に扮するために、子供たちは風呂敷を使って宗十郎頭巾をこしらえたが、どうしてもうまく出来ないのが錣だった。宗十郎頭巾は1枚の布でできているわけではなく、錣の部分は別に縫い合わせてある。したがってこれを1枚の風呂敷で真似るというのはそもそも無理な話で、逆に泥棒の頬っ被りのようなものになってしまうのが常だった。こうして宗十郎頭巾は、ますます子供たちの憧憬の的となっていったのである。
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