列伝の重複
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 15:55 UTC 版)
同一人物(主にモンゴル人)について誤って2つの列伝を立ててしまうことで、『元史』に対する批判の中でも最もよく知られるもの。このような誤りが生じるのは、非漢民族の人名を漢字転写する際に多数の表記方法があるのに対し、編纂官がこれを同一人物と認識できず別人として扱ってしまったためと考えられる。また、同様の理由で『元史』は本紀と列伝で人名表記の統一が全くなされていないため、今なお対応する人名が不明な人物も多い。 一般的には以下の3例が列伝の重複として知られている。 『元史』巻121列伝8の「速不台」と巻122列伝9の「雪不台」(四狗の一人・スブタイのこと) 『元史』巻131列伝18の「完者都」と巻133列伝20の「完者都抜都」(キプチャク人のオルジェイトゥ・バートルのこと) 『元史』巻150列伝37の「石抹也先」と巻152列伝39の「石抹阿辛」(キタイ人石抹姓のエセンのこと) また、以下の2例は同一人物の列伝でこそないものの、親族どうしであるためにほとんど内容が重複していると指摘されている。 『元史』巻121列伝10直脱児伝と巻133列伝20忽剌出伝(忽剌出は直脱児の従子にあたる) 『元史』巻132列伝19杭忽思伝と巻135列伝22阿答赤伝(阿答赤は杭忽思の息子にあたる)
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