分母が奇数である有理数への拡張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 02:21 UTC 版)
「コラッツの問題」の記事における「分母が奇数である有理数への拡張」の解説
コラッツ写像は、分母が奇数である既約分数に拡張できる。ここで偶奇性の判定は分子の偶奇性によって判定し、それ以外は定義域が整数の場合と同様に行う。すなわち、分子が偶数であれば2で割り、奇数であればその有理数に3を掛けて1を足すこととする。「ショートカット」した定義を使用する場合、任意の周期的かつ既約なパリティ列は一意な有理数によって生成されることが知られている。逆に、分母が奇数であるすべての有理数は、周期的なパリティ列を持っていると予想されている (周期性予想、periodicity conjecture)。 長さ n のパリティ列が奇数を正確に m 個含むとして、そのインデックスを k0 < … < km−1 で表すとすると、パリティサイクルを生成する有理数が次のように決定される: 3 m − 1 2 k 0 + ⋯ + 3 0 2 k m − 1 2 n − 3 m {\displaystyle {\frac {3^{m-1}2^{k_{0}}+\cdots +3^{0}2^{k_{m-1}}}{2^{n}-3^{m}}}} (1) 例えば、長さ7のパリティサイクル (1 0 1 1 0 0 1) は、0, 2, 3, 6 の位置にパリティ1 (すなわち奇数) が存在している。従って m = 4, ki = 0, 2, 3, 6 (for 0 ≦ i ≦ 3) と置くと、周期列を生成する有理数が次のように求まる。 3 3 2 0 + 3 2 2 2 + 3 1 2 3 + 3 0 2 6 2 7 − 3 4 = 151 47 {\displaystyle {\frac {3^{3}2^{0}+3^{2}2^{2}+3^{1}2^{3}+3^{0}2^{6}}{2^{7}-3^{4}}}={\frac {151}{47}}} これは、下記の有理数のサイクルとなり、パリティは確かに (1 0 1 1 0 0 1) の周期となっていることがわかる。 151 47 → 250 47 → 125 47 → 211 47 → 340 47 → 170 47 → 85 47 → 151 47 {\displaystyle {\frac {151}{47}}\rightarrow {\frac {250}{47}}\rightarrow {\frac {125}{47}}\rightarrow {\frac {211}{47}}\rightarrow {\frac {340}{47}}\rightarrow {\frac {170}{47}}\rightarrow {\frac {85}{47}}\rightarrow {\frac {151}{47}}} (1 0 1 1 0 0 1) の巡回置換は、上記の分数の1つに関連付けられる。例えば、サイクル (0 1 1 0 0 1 1) から同様の手順で有理数を得ると 3 3 2 1 + 3 2 2 2 + 3 1 2 5 + 3 0 2 6 2 7 − 3 4 = 250 47 {\displaystyle {\frac {3^{3}2^{1}+3^{2}2^{2}+3^{1}2^{5}+3^{0}2^{6}}{2^{7}-3^{4}}}={\frac {250}{47}}} となり、先の例で得たサイクルの2番目に対応している。 コラッツ予想が正しいことを仮定すると、(1 0) と (0 1) が正の整数(それぞれ1と2)によって生成される唯一のパリティサイクルであることが示される。 有理数の分母が3の倍数でない場合、この拡張されたコラッツ数列はすべて同じ分母を持ち、このとき分子の列はコラッツ関数の「3n + d」への一般化を適用することによって得ることができる。 T d ( x ) = { x 2 if x ≡ 0 ( mod 2 ) , 3 x + d 2 if x ≡ 1 ( mod 2 ) . {\displaystyle T_{d}(x)={\begin{cases}{\frac {x}{2}}&{\text{if }}x\equiv 0{\pmod {2}},\\[4px]{\frac {3x+d}{2}}&{\text{if }}x\equiv 1{\pmod {2}}.\end{cases}}}
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