出撃と死
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 10:45 UTC 版)
ギリシア勢の敗走を見かねたパトロクロスは涙ながらにアキレウスに出陣を訴える。ヘクトールの指示によりギリシアの軍船に火がかけられ始め、アキレウスは自分の武具をパトロクロスに貸し与え、ミュルミドーン人を率いて出撃させる。トロイア勢は、パトロクロスの武具を見てアキレウスだと思い、動転した。パトロクロスは軍船に群がるトロイア勢を追い払い、消火した。ギリシア勢は逆襲に転じ、パトロクロスはゼウスの子サルペードーンを投槍で倒し、さらに多くの敵将を討ち取った。 パトロクロスは出撃前、軍船を救ったら引き上げるようアキレウスから命じられ、トロイア勢を支援する神アポローンに気をつけるよう忠告も受けていたが従わず、ミュルミドーン勢の戦友エペイゲウスが敵将ヘクトールの投石で殺されたのを見て憤激し、追撃を続けた。パトロクロスは4度イーリオスの城壁に足をかけ、それをアポローンが斥けた。なおもパトロクロスはトロイア勢の陣に3度攻め入り、4度目にアポローンが背後から素手で彼を打った。パトロクロスの兜は叩き落され、手にした長槍は砕け、盾や鎧は地に落ちた。目がくらみ、体の力が抜けて立ちすくんだパトロクロスをエウポルボスが投槍で傷つけた。パトロクロスは退こうとしたが、彼の下腹をヘクトールの槍が刺し貫き、倒された。 ヘクトールはパトロクロスの武具を奪い、パトロクロスの遺骸をめぐって両軍による激戦が展開される。メネラーオスがエウポルボスを討ち取り、大アイアースの勇戦や女神アテーナーの助けもあってギリシア勢が守り切った。アンティロコスがパトロクロスの討死を知らせ、アキレウスは悲嘆の叫びを上げる。女神テティスは、息子アキレウスのためにヘーパイストスから新たな武具を調達し、アキレウスはアガメムノーンと和解する。アキレウスはヘクトールを一騎打ちで討ち取り、ヘクトールの遺体を戦車にくくりつけて引きずり回した。
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