具体的な類型化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:23 UTC 版)
類型論は現在では多数説と目されているものの、どのような類型を用いるかは学説間で必ずしも一致してはいないが、一般には少なくとも給付利得(給付不当利得)と侵害利得(侵害不当利得、財貨利得)については分けて考えられている。 給付利得 給付利得とは、外形的には有効な契約など(表見的法律関係と呼ばれる)による財貨の移転ののち、当該法律関係が無効・取消し・解除によって清算の対象となる類型を指す。その性質は財貨帰属秩序の回復であるとされ、契約の解除に準じて処理すべきとされ、当事者間の公平の観点から同時履行の抗弁権や危険負担の規定が適用される。 侵害利得(財貨利得) 侵害利得とは、何らの法律上の原因も存在しないまま、相手の権利を侵害して利益を受けている者がいる場合に、そこで得られた利益の返還を求める類型を指す。その性質は財貨運動秩序の巻き戻しであるとされる。 その他、以下のような類型が用いられることもある。 費用利得 ある者が他人の財産のために費用を負担した場合(費用償還しうる関係)を不当利得の一類型とするもの。 求償利得 ある者が他人の債務を弁済した場合(求償しうる関係)を不当利得の一類型とするもの。 *なお、(ⅰ)財貨帰属法 (ⅱ)財貨移転法 (ⅲ)債務負担法 の3つの法理から説明する見解もある。(ⅰ)財貨帰属法:とりわけ物権法。本来帰属すべき者に帰属していない状態を是正する。侵害利得に対応する。(ⅱ)財貨移転法:とりわけ契約法。無効・取消しなどの契約の巻き戻し=清算場面で機能する。当初は所持すべき正当な法律上の原因を有していたが、事後的に不存在となった場合。給付利得に対応する。(ⅲ)債務負担法:これは非常に難しい。 費用利得・支出利得・求償利得に対応するが、類型論の論者によっては、不当利得以外の法制度によるべきともいう(424条など)。つまり不当利得の問題ではない、とする。
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