共存と統合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 23:35 UTC 版)
多民族国家では、国民統合が問題となる。多民族の共存は民族間の深刻な対立と社会的分断を招く危険性があるからである。 民族概念を政策的に解体し、国民としての価値観や国家語への統合を推進する政策(フランス、フィリピン、インドネシア、ブラジルなど)、多数派民族への同化主義(タイ、トルコなど)、多数派民族の覇権のもとに多民族を統合する政策(中華人民共和国・ロシアなど)を基調としている国が多い。 一方、多民族社会としてのあり方を積極的に歓迎し、多くの民族、宗教、文化が「対等の立場で」共存していこうとする考えもある。これが文化多元主義(多文化主義)である。移民国家であるアメリカ合衆国、カナダなどでは受け入れられやすい考えであり、ヨーロッパの先進国でも徐々に取り入れられたが、文化多元主義と近代的な人権概念の衝突が問題になったり、民族間の社会的分断が生じたり、少数派民族相互の衝突や摩擦が激しくなった事例(例えばムスリムとユダヤ人の衝突、ヒスパニックとアジア系と黒人の相互対立など)もあり、多数派民族や近代的国民への「統合」を基調とする従来の政策への回帰の動きもある。また開発途上国ではいまだ解決のために武力に頼っているということが多い。
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