全反射照明蛍光顕微鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/22 09:46 UTC 版)
全反射照明蛍光顕微鏡(ぜんはんしゃしょうめいけいこうけんびきょう、Total internal reflection fluorescence microscope)、TIRF(Total Internal Reflection Fluorescence)顕微鏡、エバネッセント場顕微鏡とは、カバーガラスなどの全反射面の裏側にトンネル効果によりしみだすエバネッセント光を励起光源とした顕微鏡である。
拡散しない光源が必要なため、通常レーザー光源が用いられる(オリンパス社には楔形プリズムを使用した、アーク光源のシステムも存在する)。
原理
油浸対物レンズによる落射照明で対物レンズ顕微鏡側の中心から外れた場所に励起光を入射させて、油浸オイルとカバーガラスの境界面で全反射を発生させるか、もしくは特殊なコンデンサを油浸とし、スライドガラスと試料の境界面で全反射を起こす角度で励起光を入射させる。
すると、この境界面にエバネッセント場が形成され、試料側の厚さ数百ナノメートルが照明される。従って、この厚みの範囲でのみ励起光が当たった試料からの蛍光が発生する。
このため、背景に光ノイズの少ない非常に暗い状態で、カバーガラス近傍の物質を励起することができる。この特徴から、光学顕微鏡の解像度をはるかに超えた、たとえば蛍光分子一個の挙動を観察することも可能である。
この顕微鏡により情報通信研究機構の研究グループが、ATP合成酵素が分子モーターとして回っている様子の可視化に成功している[1]など、in vivo(実際の生体内)における分子の挙動などの研究について活用されている。
脚注
関連項目
外部リンク
全反射照明蛍光顕微鏡
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詳細は「全反射照明蛍光顕微鏡」を参照 蛍光顕微鏡の照明に全反射を利用する方法。光は屈折率の大きい媒質から屈折率の小さい媒質に、ある角度より大きな角度で入射すると、全反射が起こる。全反射の際には境界面に光のしみ出し(エバネッセント波)がある。プレパラートなどで、屈折率の大きいスライドガラスと、それより小さい水の境界面でもこれらの現象が起こるので、蛍光顕微鏡でガラス面で全反射になるような照明を用いると、ガラス面の近傍の試料のみ選択的に蛍光観察ができる。蛍光検出力は生体1分子をも達成し、一分子細胞生物学に貢献している。1990年代、日本で大きく発展した。
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