免疫の老化(疲弊)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 22:45 UTC 版)
「サイトメガロウイルス」の記事における「免疫の老化(疲弊)」の解説
健常CMVキャリアにおけるCMV特異的細胞傷害性CD8+T細胞の比率は中央値で10%と予想以上に高く、40%に達することもある。また、加齢に伴ってこの比率が上昇する。どの様な機構によるのかは未だ不明であるが、加齢に伴ってこのCMV特異的T細胞の少クローン性の増大(memory inflation)を生じると、ナイーブ T 細胞が減少しCMV以外の感染症に対する防御能の低下をきたす。一方、長寿の家系ではこの様な現象が見られない。これらの事実からCMVに対するT細胞反応の増大が、免疫の老化(疲弊)と密接に関連し、その重要な指標と考えられている。 この疲弊した細胞傷害性CD8+T細胞は、T細胞抑制性のCD28スーパーファミリー受容体のPD-1(programmed death-1)受容体を発現しているという特徴がある。CD8+T細胞は、リガンドであるPD-L1によるPD-1の活性化によってその機能が抑制される。PD-1/PD-L1の相互作用を阻害すると抗ウイルスCD8+T細胞の働きが回復しウイルスの量が減るので、CMVはこの経路の継続的な活性化を行うことにより、免疫によるウイルスの除去能を低下させている。
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