偶然主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 16:37 UTC 版)
「チャールズ・サンダース・パース」の記事における「偶然主義」の解説
パースの偶然主義 (tychism) については、「モニスト形而上学シリーズ」の第二論文「必然性の教説再考」が詳しい。そこで彼は「必然主義」(necessitarianism) の立場を次のように定義している: [必然主義の命題は]ある時点において存在する物事の状態と、一定の不変な法則とを合わせれば、他のあらゆる時点における物事の状態が完全に決定される、という命題である(というのも未来の時点だけに限定するのは擁護不可能だから)。 偶然主義は必然主義の否定である。つまり自然法則の支配は絶対的ではなく、規則性からの何らかの逸脱が常に存在するという立場である。その論拠としてパースは以下の5点を挙げている: 機械的必然性は、自然において観察される物事の成長や複雑性の増大を説明できない。 法則からの無限小の逸脱を仮定することによって、宇宙の多様性を説明できる。 必然主義者は、規則性が存在するという一般的な事実を説明できないが、偶然主義者は、規則性そのものを、純粋偶然に起源を持ち、徐々に進化してきたものとして説明できる。必然主義者は、自然法則が存在するという事実をそれ以上説明できない絶対的な所与として扱うが、これは探究の道を塞ぐ仮説である。 必然主義は意識を一種の幻想にしてしまう。 純粋偶然の仮説から演繹される帰結が、観察されている事実と合致する(この点に関する詳しい説明は「必然性の教説再考」にはない)。
※この「偶然主義」の解説は、「チャールズ・サンダース・パース」の解説の一部です。
「偶然主義」を含む「チャールズ・サンダース・パース」の記事については、「チャールズ・サンダース・パース」の概要を参照ください。
- 偶然主義のページへのリンク