倫理・慣習への配慮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
旧民法批判への対応として、個々の制度にも修正を加えた。 慣習法が成文法に優先すべき場合のあることを一般原則として認める(現92条)。 金銭に見積もりえないものも、債権の目的となることを認める(現399条)。 精神的損害等の無形的損害も、不法行為による損害賠償の対象に含める(現710条)。 「法律行為」の「取消」は、裁判上の「錯除」ではなく「相手方に対する意思表示」のみで効力を生じるとされた(現123条)。 債権譲渡自由が弱肉強食を招くとの批判に対しては、例外的に「性質上」できないものがあることを明示し、また当事者の「特約」で予め禁止できるとした(平成29年改正前466条2項)。 時効後の任意履行につき定めた自然義務規定については、道徳の領域を無理に組み込んだ結果、多数の前後矛盾を生じた旧民法最悪の失敗作と非難され(穂積陳重)、全く異論の無いまま明治民法から除去されている(第4回民法主査会)。
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