修正主義とミラーの伝記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 09:05 UTC 版)
「ジェームズ2世 (イングランド王)」の記事における「修正主義とミラーの伝記」の解説
1970年代に起こった歴史修正主義の隆盛は、歴史学を物語から学問に押し上げようとする動きでもあった。修正主義は、歴史の物語性や因果律を批判的に検討し、進歩史観の否定や歴史的偶発性の指摘を行った。その流れの中で、名誉革命研究も新たな展開を見せることになった。次第にウィリアム3世の戦略的利己心やホイッグ急進派の実態などが明らかにされ、名誉革命は歴史的偉業から単なる宮廷クーデターに格下げされた。ジェームズ2世については「カトリック絶対王政を目指した専制君主」という像が真実だとすれば、カトリック陰謀事件などの騒動やジェームズ2世が国王に即位できた理由が説明できなくなる点などが指摘された。ジェームズ2世を支持した層が存在したことが明らかになり、歴史的悪役の枠内では捉えきれなくなりつつあった。そうした潮流のなかでジョン・ミラーが著した「James II」(初版1978年)は、現在もっとも評価の高い伝記である。 ミラーは、ジェームズ2世は絶対王政に憧れている面があったものの、それを実現する計画も努力もほとんどなく、むしろイングランドで信仰の自由──カトリックも含めて──を実現しようとしたにすぎない、と指摘した。
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