保存状態と制作年度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 05:13 UTC 版)
「受胎告知 (ヤン・ファン・エイク)」の記事における「保存状態と制作年度」の解説
『受胎告知』は19世紀にパネルからカンバスに移植された。1998年に大規模な洗浄修復を受けてワニスと数箇所の重ね塗りされた加筆が除かれ、その後ファン・エイクの技術研究が慎重に行われた。ナショナル・ギャラリーの目録ではこの洗浄によって『受胎告知』が大規模に回復できたと記述されていた。しかし洗浄後の研究を通じて、洗浄修復のために表面、特に背景部分が細かい亀裂に覆われ、ガブリエルの顔、髪、マリアのローブなど塗りなおされた部分は艶のある絵の具の層が失われてしまっていたことが判明した。 この絵画の完成年ははっきりしていない。以前はパノフスキーをはじめ、1428年か1429年から1436年か1437年にかけて描かれたと考えられていた。しかし1959年にアルテ・マイスター絵画館に所蔵されていた祭壇画から1437年の日付が発見されたことがファン・エイクが描いた作品全ての制作日付を大きく変え、「1432年以前に『受胎告知』が描き始められていたと考えるのは不可能」となった。『受胎告知』の作風からすると『ヘントの祭壇画』と後期の作品、例えばベルリンにある『教会の聖母』との間の作品と考えられる。 『受胎告知』はヤン・ファン・エイクの兄フーベルト・ファン・エイクの作品であるとする意見もあった。しかし近年の洗浄修復と調査の結果、ヤンの作品であると考えられている。
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