余剰反応度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 04:24 UTC 版)
原子炉を運転すると、時間の経過と共に核分裂するウラン235が減ってゆき、また発生した核分裂生成物中の中性子を吸収する毒物質(キセノン135、サマリウム149など)の影響によって原子炉の反応度は減ってゆく。原子炉運転開始から終了までの運転サイクルの間、原子炉の反応度は0以上である必要がある。これは燃料を消費しすぎると反応度が負の値となり、臨界を維持できなくなって原子炉が停止してしまうためである。それゆえに原子炉の運転開始時、運転終了時までに消費される燃料をあらかじめ装荷しておく必要がある。 運転開始時に原子炉が持っている反応度を余剰反応度と呼ぶ。余剰反応度は原子炉の制御棒を全て引きぬき、冷却材中のホウ酸濃度をゼロと仮定した時の炉心の反応度であり、運転開始時は正の値をもち、運転終了時は限りなく0に近い値となる。 原子炉が持つ余剰反応度に対し、制御棒が持つ負の反応度が十分に大きければ原子炉は安全に停止できる。このため制御棒は、運転サイクル中の原子炉の余剰反応度を常に上回るの負の反応度を保つ設計となっている。また原子炉にはホウ酸注入系のような制御棒以外の手段による反応度を下げるシステムも設置されている。
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