余剰次元(ADD/GOD模型)による解決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:36 UTC 版)
「階層性問題」の記事における「余剰次元(ADD/GOD模型)による解決」の解説
もし我々が3+1次元の世界に住んでいるなら、重力の計算は以下の、重力に対するガウスの法則による。 g ( r ) = − G m e r r 2 {\displaystyle \mathbf {g} (\mathbf {r} )=-Gm{\frac {\mathbf {e_{r}} }{r^{2}}}} (1) これは単に重力に関するニュートンの法則である。ニュートンの定数Gはプランク質量を用いて書かれる。 1 M P l 2 {\displaystyle {\frac {1}{M_{Pl}^{2}}}} このアイデアを余剰の δ {\displaystyle \delta } 次元が存在する場合に拡張すると以下を得る。 g ( r ) = − m e r M P l + 3 + 1 + δ 2 + δ r 2 + δ {\displaystyle \mathbf {g} (\mathbf {r} )=-m{\frac {\mathbf {e_{r}} }{M_{Pl+3+1+\delta }^{2+\delta }r^{2+\delta }}}} (2) ここで M P l + 3 + 1 + δ {\displaystyle M_{Pl+3+1+\delta }} は3+1+ δ {\displaystyle \delta } 次元における質量である。しかし、それらの余剰次元が3+1次元と同じ大きさであると仮定した。余剰次元の大きさが、通常の次元より遥かに小さい大きさnであるとしよう。r << nとすると(2)を得る。しかしr>> nとすると、通常のニュートンの法則を得る。けれどもr >> nでは、余剰次元の方向でフラックスは一定となる。なぜなら重力のフラックスの行き場がないからである。よってフラックスは余剰次元のフラックスである n δ {\displaystyle n^{\delta }} に比例する。重力の表式は g ( r ) = − m e r M P l + 3 + 1 + δ 2 + δ r 2 n δ {\displaystyle \mathbf {g} (\mathbf {r} )=-m{\frac {\mathbf {e_{r}} }{M_{Pl+3+1+\delta }^{2+\delta }r^{2}n^{\delta }}}} − m e r M P l 2 r 2 = − m e r M P l + 3 + 1 + δ 2 + δ r 2 n δ {\displaystyle -m{\frac {\mathbf {e_{r}} }{M_{Pl}^{2}r^{2}}}=-m{\frac {\mathbf {e_{r}} }{M_{Pl+3+1+\delta }^{2+\delta }r^{2}n^{\delta }}}} よって以下が得られる。 1 M P l 2 r 2 = 1 M P l + 3 + 1 + δ 2 + δ r 2 n δ => {\displaystyle {\frac {1}{M_{Pl}^{2}r^{2}}}={\frac {1}{M_{Pl+3+1+\delta }^{2+\delta }r^{2}n^{\delta }}}=>} M P l 2 = M P l + 3 + 1 + δ 2 + δ n δ {\displaystyle M_{Pl}^{2}=M_{Pl+3+1+\delta }^{2+\delta }n^{\delta }} 故に元の(余剰次元を含めた)プランク質量は実際には小さく、従って重力は実は強いという事になる。ただしこれが上手く働くのは、余剰次元の数とそれらの大きさが適切であった時だけである。物理的には、重力が弱いのは余剰次元へとフラックスが逃げてしまっているからである、といえる。 参考文献:Quantum Field Theory in a Nutshell by A. Zee
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