低い利用率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 15:21 UTC 版)
会計検査院の推計によると、勤労所得税額控除の利用が可能と想定されるすべての世帯のうち、75%しか勤労所得税額控除を利用していない。内国歳入庁は制度の周知による利用拡大に努めているが、利用率の顕著な増加にはつながっていない。 その課題に対して内国歳入庁は、1998年には、所得状況や扶養家族の状況から勤労所得税額控除の受給資格があると認められる19.4万人、低所得の単身者68万人に勤労所得税額控除の適用が受けられる可能性がある旨の通知を行い、前者の約3分の1、後者の45%が勤労所得税額控除の申請を行った。1999年には、100件以上の勤労所得税額控除の申請書作成業者に対する大規模なアウトリーチ・プログラムを実施し、職員が個別にそれらの者を訪問して勤労所得税額控除の適正申告を指導した。 また、勤労所得税額控除の利用率を高めるために早期の給付を図るAdvance Earned Income Tax Credit(AEITC)という仕組みが導入されていた。 AEITCは、勤労所得税額控除を対象年の翌年にまとめて受給することに代えて、分割で対象年中に受け取ることができる制度であり、一定以下の所得で1人以上の適格児童を有する者が、雇用主に様式W-5を提出することにより、毎月の給与支払いに勤労所得税額控除の額が加算される。 しかし、AEITCの利用件数は勤労所得税額控除申請者のうち2%未満と少なく、利用を申請した者の79%が要件を満たしていないなど高いエラー率であった。 会計検査院は、内国歳入庁の長年にわたる努力によっても、AEITCの不正受給が多く、また、利用が増加しないことを問題視している。AEITCの不正受給は、 2002-2004年分では申請の約20%が非適格、特に無効の社会保障番号を使っているものが多い。 申請の40%が必要とされる税務申告を行っていない。 申請の60%は税務申告を行ったがその3分の2が給付額を誤っていた。 というものである。そこで会計検査院は内国歳入庁に対して、AEITCの誤申請者、利用可能者及び雇用主に案内を送付し、特に雇用主にはAEITCを適用する従業員の申請について社会保障番号を確実に確認するよう勧告した。しかし、その後の内国歳入庁の利用促進の努力にもかかわらず効果は現れず、AEITCは2010年の税制改正により廃止された。
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