仕事 (物理学)とは? わかりやすく解説

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仕事 (物理学)

(仕事量 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/05 13:18 UTC 版)

仕事
work
量記号 W
次元 L2 M T−2
種類 スカラー
SI単位 ジュール(J)
CGS単位 エルグ(erg)
FPS単位 フィート・パウンダル(ft pdl)
MKS重力単位 重量キログラムメートル(kgf m)
FPS重力単位 フィート重量ポンド(ft lbf)
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物理学における仕事(しごと、英語: work)とは、物体に加わるベクトルと、物体の変位ベクトルの内積によって定義される物理量である。

仕事は、エネルギーを定義する物理量であり、物理学における種々の原理・法則に関わっている。

古典力学
野球の場合、ボールは投手の「仕事」によって運動エネルギーを得る。

次に仕事が生じない例を挙げる。

  1. 荷運び業者がある荷物を抱えて荷物の位置も含め、静止しているとする。荷運び業者が荷物を抱えている状況では、静止している荷物のエネルギーは変わらないため、荷物は荷運び業者から仕事をされていない事が分かる。実際には、荷運び業者の筋肉は荷物の重力と釣り合う上向きの力を発生するためにエネルギーを消費しているが、これは最終的には 熱エネルギー に変わる。
  2. 電動機(電動モーター) を例に考える。電動機は電流を流すと回転するが、電流を流している状態で電動機を回転しないように軸を固定すると、電動機の電気抵抗によって発熱する (ジュール熱 を発生する) 。この時、電動機には回転力がかかっているが、固定されて何も移動していないためこれも仕事とは呼ばない。
  3. 野球の捕手が受け取るボールを考える。この時、捕手のミットが全く動かず、ボールは一瞬で静止するとしよう。この状況は非弾性衝突の場合であり、ボールがミットにした仕事はゼロである。つまり、静止したミットのエネルギーは増えず、ボールの運動エネルギーは、失われてゼロになる。実際には、動いているボールが静止するまでの微小時間に、ボールの運動エネルギーはボールやミットを歪ませるためのエネルギーに変わる(ハイスピードカメラで撮影した映像をイメージしてほしい)。この種のエネルギーの移動は、ボールがミットにした仕事とは呼ばない。

物体にする仕事の定式化

物体に力 F が作用し、その位置が Δx だけ変化したとき、力 F がこの物体に対してした仕事 W

動滑車

重量 w の物体を支持するためには、鉛直下向きの重力に対して鉛直上向きの力が必要である。 この物体を鉛直に高さ h まで、ゆっくりと(加速度の影響が無視できるように)持ち上げる際に行われる仕事は wh と表される。 同じ高さまでの持ち上げに必要な仕事は滑車てこなどの単純機械を用いても変化しない。この事を、仕事の原理と言う。

定滑車を用いると、ロープを引っ張る力の大きさは変化しないが向きが変化する。同時にロープの端を引っ張る向きも変化するが、持ち上げる為にロープの端を引っ張る距離は持ち上げる高さと等しい。 力や移動の向きは変化するがその力の大きさや移動する距離はそのまま持ち上げた場合と変化せず、仕事は変化しない。

動滑車を用いてロープを鉛直に張った場合には、物体の重量の半分の力で持ち上げることができる。しかし、同じ高さまで持ち上げる為には、ロープの端を持ち上げる高さの2倍の距離を引っ張らなければならない。力が半分になるが移動距離が2倍になるので、仕事は変化しない。

てこを用いると、作用点にかかる力は、支点からの腕の長さの逆比例で変化する。一方、移動距離は、相似関係により、腕の長さの正比例で変化する。従って、仕事は変化しない。

流体

油圧システムのような流体による仕事の伝達機構を考える。二つのピストン-シリンダを接続した内部に流体が封入されている系において、ピストンが移動して流体が一方のシリンダから他方のシリンダへ移動するとき、適当な条件の下で仕事は変化しない不変量である。 まず、流体の圧縮が無視できる場合には、ピストンの移動距離はシリンダの断面積に逆比例する。

仕事と力

上図のように、加えられる力が一定であるが運動の方向が力の向きに対して角度 α だけ傾いているとき、仕事 W は力 F と物体の移動距離 s によって以下のように表される。

蒸気機関(アニメーション)

蒸気機関を考えると、水を加熱し、蒸気圧によって押し出されるピストンが、フライホイールを回転させる事で動力を生み出している。つまり、フライホイールは水蒸気から正の仕事をされて、フライホイールの回転エネルギー (及びそこから繋がる機関全体のエネルギー) は増える。別の表現で、熱エネルギーから仕事を取り出すなどとも言う。

仕事が生じない例を以下に挙げる。

  • 熱伝導も、物体間で微視的な原子衝突により原子の運動エネルギーが移動するが、巨視的に観測できる力ではないため、仕事の定義には含まれない(熱力学における力学的仕事とは、あくまで巨視的なものに限られる)。

系がする仕事

熱力学圧力 P気体(一般に物体)の体積Vi から Vf に変化する時に気体がする仕事(絶対仕事W は次式のように表される。



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