仏教における地位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 03:45 UTC 版)
仏教語「地位(じい)」は、菩薩が仏になるためにどうしても経なければならない道のことであり、元は仏教の精神そのものを表現する言葉である。観音や文殊は、その精神を人格的に表現したものである。その、菩薩が仏になる道を、「菩薩道」と言うが、大乗経典でこれを中心的に説くのは「華厳経(けごんぎょう)」である。『華厳経』は、東大寺の大仏の根拠となった経典である。大仏は偉大な菩薩精神が完成した姿を表わしていると言える。それで、大仏を説くからにはその経の功徳も絶大であると考えられて、古代から良く学ばれ、写経の際には重要なテキストになった。その『華厳経』が説く菩薩の道を「十地(じゅうじ)」と言い、その他の課題と区別して、この十地を特に「地位」と呼ぶのである。『華厳経』は、「十」を完全な数と見て、あらゆることを「十」の観点から説く。また「地」とは地面のことで、拠り所を意味している。菩薩はしっかりと地面を踏みしめながら、仏となる道を歩んで行く。 「華厳経」は、十地の歩みの中で最も重要なことは、初地に立つことであると説いている。その為には、自らの課題(願)と清らかな行い(善)が揺ぎ無いものとなっていなければならず、その上で初めて、本当の歩みが始まると言うのである。つまり「地位」に就くことは、始まりであって目的ではないのである。その始まりに立つためには、揺ぎ無い決心と相応の実力が必要だと言うのである。
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