人工のヒレを持つに至った経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:52 UTC 版)
「ウィンター (バンドウイルカ)」の記事における「人工のヒレを持つに至った経緯」の解説
2005年12月、およそ生後2か月か3か月程度のこのイルカは、フロリダ州ケープカナベラル近郊の湾で、カニ漁の網に絡まっていたところを保護され、水族館に搬送された。網に絡まった際に逃げようと大きく動いたため、網が尾の付け根に深く絡まり血流が止まり、大けがをして、瀕死の状態であった。獣医師ら150人態勢で治療を試みられ一命は取り留めたものの、尾びれの皮膚がはがれ、壊死が始まり、そして椎骨が脱落し、尾びれは完全に失われてしまった。 その後、このイルカは泳げるまでに回復した。ただし、尾びれの無い泳ぎは、健康体のイルカに比較して遊泳力で劣っており、野生に戻すのは不可能となり、“ウィンター”と名付け、水族館に引き続き飼育された。 しかし、尾びれの無い泳ぎは、背骨の発育の異常を引き起こす恐れがあるため、水族館は人工的な尾びれをつけることを思いつく。2006年に水族館は、イルカに調査装置の装着経験がある専門家や、米海軍、各企業などと相談し、人工尾びれの開発をすることになった。 それから、1年半が経過した2008年、ヒト用の義足メーカーによってイルカ用の人工ヒレが開発された。ウィンターは尾びれがすべてないため、靴下のようなカバーを着用して人工ヒレを固定する足掛かりとし、ヒレは30インチのシリコーンとプラスチックで作られた。イルカの運動に合わせて、全方向の動きに対応できる人工ヒレとなった。 2021年11月7日、水族館はウィンターが胃の感染症の兆候があることを発表。その後、同月10日には危篤状態となり、現地時間11日午後8時頃、16歳で息を引き取った。
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