井戸の神聖化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 18:17 UTC 版)
水は生活にとって不可欠のものであり、それを汲み上げる井戸は重要視され信仰の対象とされてきた。日本においては井戸神として弥都波能売神(みづはのめのかみ、水神)などが祀られた。井戸の中に鯉などが放たれていることもある。魚が棲めるということは水が清いということである。この魚を井戸神とみなす地方もあり、井戸の魚はとってはいけないとされる。イモリも井戸を守る「井守」から来ているという説がある。 井戸には禁忌も多くあり、刃物や金物を投げ込むこと、大声を井戸に向かって発することは厳に戒められた。 井戸は地下の黄泉に繋がる異界への入り口とも考えられていた。幽霊が出るなどはその一例である。ギルガメシュ叙事詩では、ギルガメシュは井戸(取水口)からアプスー(地底の淡水の海)へと潜り、若返りの草を得た。また平安時代に小野篁が井戸を通って地獄に通ったとされる伝説も有名。最近では鈴木光司によるホラー小説『リング』があり、井戸が作品のキーポイントとなっている。盆を迎える前に井戸替え(井戸浚い)を行うのは死者の道を整備するという意味があったものと考えられている。 家屋の解体などに伴って井戸を埋める際には、魔よけのために儀式が執り行われた。また、埋めることになった井戸に「息継ぎ竹」と呼ばれる竹を立てる風習があった。
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