五智如来の三昧耶戒
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この戒律は、先に説かれている『密教の菩提心戒』が発展して出来た戒律。チベット密教においては瑜伽タントラに属する戒律であり、『金剛頂経』系に属する教えの全ての灌頂において授けられる。現在では、『時輪タントラ』の中において説かれる本初仏(アディブッダ)の「双入不二」の思想が、五仏を創造し出生することを根本原理として、五智如来に配する戒律の条項を『秘密相経』(vajira-sikhara-tantra)等を参考にして解説される。なお、灌頂を授かったならば、この戒律についても必ず師僧(根本ラマ)より詳しい解説と「口伝」を受ける必要がある。 戒律の内容は『五智如来の三昧耶戒』と『三誓願』の二つからなり、その内容は以下のようになる。 『五智如来の三昧耶戒』仏部三昧耶戒 願菩提心を継続しなければならない。 行菩提心を継続しなければならない。 密教の菩提心戒と、諸戒律を守らなければならない。 金剛部三昧耶戒 金剛杵(大楽)の三昧を修さなければならない。 五鈷鈴(空性)の三昧を修さなければならない。 大手印(マハムドラー:「空楽不二」)の三昧を修さなければならない。 上師相応法(グル・ヨガ)の三昧を修さなければならない。 宝生部三昧耶戒 財産を布施しなければならない。 教えを布施しなければならない。 無畏を布施しなければならない。 慈悲を布施しなければならない。 蓮華部三昧耶戒 作タントラと、行タントラを成就しなければならない。 瑜伽タントラを成就しなければならない。 無上瑜伽タントラを成就しなければならない。 三乗(声聞乗・大乗・金剛乗)の教えを会得しなければならない。 羯磨部三昧耶戒 「外の供養法」(作タントラと、行タントラの供養法)を行なわなければならない。 「内の供養法」(瑜伽タントラの供養法)を行なわなければならない。 「秘密の供養法」(無上瑜伽タントラの供養法)を行なわなければならない。 「トルマ」(食子)の供養法を行なわなければならない。 「護摩」の供養法を行なわなければならない。 「四種法」(滅罪・増益・敬愛・降伏)の供養法を行なわなければならない。 『三誓願』一切の有情を捨てないことを誓う。 全ての戒律を護持することを誓う。 伝授の修法を継続することを誓う。
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