二項検定の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/27 06:56 UTC 版)
ある一つのサイコロの出目に依存し、特に 6 を出すことが特別に重要なボードゲームがあるとしよう。このとき、サイコロがイカサマであるかを確認することを考える。ある試合において、サイコロを 235 回振ったところ、 6 の目は 51 回出たとする。サイコロが公平ならば、6の目は 235 × 1 / 6 = 39.17 {\displaystyle 235\times 1/6=39.17} 回出ると期待できる。ここで我々は、 6 の目が出た数が、サイコロが公正だった場合に純粋な偶然によって平均的に期待される値よりも大きいことを観測したことになる。しかし、その数は、このサイコロの公平性について我々が何か結論を出せるほど有意に高いのだろうか?この質問は、二項検定によって答えることができる。ここでの帰無仮説は、サイコロが公平であるということになるだろう(そのとき、サイコロの各数字の出現確率は 1/6 である)。 この質問に対する二項検定では、以下の二項分布を使って p {\displaystyle p} 値を求める: B ( n = 235 , p = 1 / 6 ) {\displaystyle B(n=235,p=1/6)} 確率質量分布は: f ( k , n , p ) = Pr ( k ; n , p ) = Pr ( X = k ) = ( n k ) p k ( 1 − p ) n − k {\displaystyle f(k,n,p)=\Pr(k;n,p)=\Pr(X=k)={\binom {n}{k}}p^{k}(1-p)^{n-k}} 今回は期待値よりも大きい値を観測したので、求める p {\displaystyle p} 値は帰無仮説のもとで 6 の目が 51 回もしくはそれ以上出る確率となる。これは片側検定である(ここでは 6 の目の割合が期待されるよりも「有意に高いかどうか」を問題にしている)。この確率は、帰無仮説のもとで 235 回のうち 6 の目が 51 回、さらに 52 回、 53 回、・・・、 235 回と出る確率をそれぞれ求め、これらをすべて合計することで求められる: ∑ i = 51 235 ( 235 i ) p i ( 1 − p ) 235 − i = 0.02654 {\displaystyle \sum _{i=51}^{235}{235 \choose i}p^{i}(1-p)^{235-i}=0.02654} 有意水準を 5% としておけば、この p {\displaystyle p} 値はそれより小さい(0.02654 < 5%)から、「帰無仮説を棄却する」、つまり「さいころは公平でない」と結論付けるために十分な証拠があると言える。 通常、サイコロの公平性を検定する場合、上の片側検定で考慮したような 6 の目の割合が「有意に高いかどうか」だけではなく、 6 の目の割合が「有意に低いかどうか」にも関心がある。これらの両方の偏りを考慮するためには、両側検定を使う。この例では、両側検定の p {\displaystyle p} 値は 0.0437 となり、片側検定と同じく 5% の有意水準で有意、すなわちこのサイコロで出た 6 の目の数は期待される数と有意に異なると示される。
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