不定冠詞・部分冠詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:32 UTC 版)
不定冠詞は、不定の名詞(文脈に新たに導入されたものを指す名詞)の前に置く。単数形の不定冠詞しかない言語と、単複両形がある言語があり、単数形には一般に、数の 1 を表す単語が用いられる。前者の場合(英語の a/an、ドイツ語の ein とその変化形、オランダ語の een 等)は、不定の単数の可算名詞の前にのみ置かれて、名詞が複数の場合や不可算名詞の場合には、不定のものを表す名詞の前でも置かれない。後者の場合、例えばフランス語では、単数の可算名詞の前には単数形 un/une、複数の可算名詞の前には複数形 des が置かれる。 スペイン語、ポルトガル語には、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}不定冠詞の単数形からアナロジーにより派生した[要出典]不定冠詞の複数形が存在する。 部分冠詞は、フランス語、イタリア語などに独特の冠詞で、不可算名詞のための不定冠詞と考えられる。起源的には、部分の属格から発生したもので、そのため属格の前置詞と定冠詞が合わさった形をしている。これは不定冠詞の複数形でも同様である。フランス語の場合は、属格の前置詞 de を用いて、不定冠詞の複数形(男女同形)は de + les → des、部分冠詞は男性形 de + le → du、女性形 de la となる。イタリア語の場合は、属格の前置詞 di を用い、不定冠詞の複数形は部分冠詞として扱われる。 これらの言語では、不定冠詞の複数形 + 名詞(複数形)または部分冠詞 + 不可算名詞の形で総称を表現することはできない。例えば、「私はりんごが好きだ」に対応する文は、英語ではりんごを無冠詞の名詞の複数形にする。 I like apples. しかしフランス語では、不定冠詞 + 名詞(複数形)では総称にはならず、定冠詞 + 名詞(複数形)にしなければならない。 *J'aime des pommes. (誤り) J'aime les pommes. これは、不定冠詞の複数形が部分冠詞と同じく部分の属格に発しているため、不定冠詞の複数形 + 名詞(複数形)の形だと「全てではなくいくつかのりんご」の意味になるからである。同様に、「私はパンが好きだ」に対応する文は、英語ではパンを無冠詞の不可算名詞とする。 I like bread. しかしフランス語では、部分冠詞 + 不可算名詞では総称にはならず、定冠詞 + 不可算名詞にしなければならない。 *J'aime du pain. (誤り) J'aime le pain.
※この「不定冠詞・部分冠詞」の解説は、「冠詞」の解説の一部です。
「不定冠詞・部分冠詞」を含む「冠詞」の記事については、「冠詞」の概要を参照ください。
- 不定冠詞・部分冠詞のページへのリンク