ヴェーダ時代
ヴェーダ時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 13:51 UTC 版)
ブラフマーがヴィシュヌもシヴァとともに描写されている最も早い段階の記述は、紀元前10世紀の後半に編纂されたと考えられるマイトリー・ウパニシャッドの5章に見られる。クツァーヤナ賛歌(Kutsāyana)と呼ばれる5章1節にこれら3神が触れられ、その後の5章2節で説明が展開されている。 汎神論をテーマとするクツァーヤナ賛歌は人の魂をブラフマンであると主張し、その絶対的現実、普遍の神は生きとし生けるすべての存在の中に宿るとしている。アートマン(魂、我)はブラフマーであることと同等であり、ブラフマンの様々な顕現であることと同等であると展開する。いわく、「汝はブラフマーである。汝はヴィシュヌである。汝はルドラ(シヴァ)である、汝はアグニ、ヴァルナ、ヴァーユ、インドラであり、汝は全てである」。 マイトリー・ウパニシャッドの5章2節ではブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァはそれぞれが3つのグナ(英語版)と関連づけられている。グナとはすべての生物に見いだすことのできる性質、精神、生来の傾向であるとされ、世界は暗質(タマス)から生じたと語られている。その後世界はそれ自体の作用により活動し激質(ラジャス)となり、そして精錬、純化され純質(サットヴァ)となった。これら3つのグナのうち、ブラフマーにはラジャスが関係づけられており、ルドラ、ヴィシュヌがそれぞれタマス、サットヴァを受け持つ。 マイトリー・ウパニシャッドはブラフマーをトリグナ理論の1要素に当てはめてはいるものの、後のプラーナ文献に見られるようなトリムルティの1要素としては描写していない。
※この「ヴェーダ時代」の解説は、「ブラフマー」の解説の一部です。
「ヴェーダ時代」を含む「ブラフマー」の記事については、「ブラフマー」の概要を参照ください。
- ヴェーダ時代のページへのリンク