ヴェネツィア派の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/30 14:20 UTC 版)
「ダビデ王の手紙を持つバテシバ」の記事における「ヴェネツィア派の影響」の解説
本作品の最も重要かつ基本的な要素であるバテシバの腕のカーブが作る同心円の構成は、肌着、黒色のネックレス、丸みのある乳房といった円形のモチーフおよびそれらの柔らかな質感と共鳴している。バテシバのポーズに見る円形のモチーフは、かつてベルリン美術館に所蔵され現在は失われた、ルネサンス期のヴェネツィア派の画家パルマ・イル・ヴェッキオの女性の肖像画から取っている。 また本作品の女性の上半身を描くスタイルもティツィアーノの『フローラ』(Flora, 1515年-1517年頃)やパルマ・イル・ヴェッキオの『ブロンドの女性』(Donne bionde, 1520年頃)といった作品とよく似ており、ヴェネツィア派の絵画に強い影響を受けて本作品を描いたことが分かる。事実、ティツィアーノの『フローラ』は版画によって広く知られ、レンブラントはこの作品に触発されていくつかの作品を制作している(当時のオランダには実際にプライベートコレクションの一部としてティツィアーノの『フローラ』があった)。ちなみに本作品は数年後にレンブラントが描いた内縁の妻ヘンドリッキエ・ストッフェルドホテル・ヤーヘル(英語版)の肖像画と共通している。この作品もまたパルマ・イル・ヴェッキオの影響が指摘されている。 なお、ドロステが本作品を描いた1654年は彼がイタリア旅行に出発する直前であり、その後もヴェネチア派の絵画を忘れなかったことは、近年新たに発見されたイタリア旅行時代の作品『フローラ』から確かめることが出来る。
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