ワット浴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:00 UTC 版)
ワット浴とは硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸を主成分とするもっとも実用的で有名なニッケルめっき浴である。1915年に O.P.Watts により開発され、開発者の名に因んでこの名が付けられた。ワット浴からの析出皮膜は素地との密着性がよく、半光沢で耐食性がある。このため下地めっきとして用いられることが多い。鏡面光沢の皮膜を作成するために、以前はバフ研磨後にクロムめっきが行われていたが、光沢添加剤が開発されている現在ではその必要はない。以下に代表的な光沢添加剤を示す。 一次光沢剤 皮膜の結晶を微細化することにより光沢を付与する働きをする。 芳香族スルホン酸類(ベンゼンスルホン酸 etc.) 芳香族スルホンアミド類(p-トルエンスルホンアミド etc.) 芳香族スルホンイミド類(サッカリン etc.) 二次光沢剤 一次光沢剤では得られない、小さな傷を埋める働き、つまりレベリング効果を付与する働きをする。 アルデヒド類(ホルムアルデヒド etc.) アリル、ビニル化合物(アリルスルホン酸 etc.) アセチレン化合物(2-ブチン-1,4-ジオール etc.) ニトリル類(エチルシアンヒドリン etc.) 一次光沢剤は組成中に硫黄を含んでおり、ニッケルとともに共析する。皮膜中の硫黄量が増加すると、電気化学的電位は卑となり、腐食しやすくなる。
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