ワインレブアミド
ワインレブアミド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/13 15:30 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ワインレブアミド (Weinreb amide) は、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンのアミドのことである。
主にカルボン酸誘導体をアルデヒドやケトンに誘導する際の合成中間体として使用される。 これは1977年にスティーヴン・ワインレブらによって報告された手法である[1][2]。
カルボン酸ハロゲン化物やエステル、アミドなどに対し、水素化アルミニウムリチウム (LAH) や水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(SMEAH, Red-Al などの商標がある)のような還元剤を用いた場合、2当量のヒドリドが反応してしまいアルコール(アミドの場合はアミン)にまで還元されてしまい、途中に生じるアルデヒドを得ることは難しい。 かさ高い還元剤である水素化トリ t-ブトキシアルミニウムや水素化ジイソブチルアルミニウム (DIBAL-H) を低温で用いるとアルデヒドが得られることもあるが、基質の性質に左右され一般的とはいえない。 グリニャール試薬を反応させてアルキル基で置換することによりケトンを得る場合も同様の問題が生じる。
これはカルボニル基に1当量目のヒドリドやアルキル基が付加して生じる金属アルコキシドが不安定で、容易に脱離基を放出してアルデヒドやケトンになってしまうためである。 アルデヒドやケトンのカルボニル基はカルボン酸誘導体のそれよりも反応性が高く付加を受けやすいため、優先してアルコールやアミンへと反応してしまう。
一方、ワインレブアミド 1 においてはヒドリドやグリニャール試薬など(図では R'M)が求核付加して生じる N-メトキシヘミアミナールが、2つの酸素原子が金属アルコキシドの金属に配位したキレート構造 2 を作ることにより安定化される。 安定化された 2 からはアミノ基の脱離・放出が起こりにくく、系内ではアルデヒドやケトンに変わりにくいため 2当量目の求核剤の付加反応が抑えられる。 付加体 2 は反応終了時に酸で処理することによって加水分解され、その段階で目的とするアルデヒドやケトン 3 を得ることができる。
参考文献
- ^ Basha, A.; Lipton, J. L.; Weinreb, S. M. "A mild, general method for conversion of esters to amides". Tetrahedron Lett. 1977, 18, 4171–4172. DOI: 10.1016/S0040-4039(01)83457-2
- ^ Nahm, S.; Weinreb, S. M. "N-methoxy-N-methylamides as effective acylating agents". Tetrahedron Lett. 1981, 22, 3815–3818. DOI: 10.1016/S0040-4039(01)91316-4
ワインレブアミド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 02:51 UTC 版)
詳細は「ワインレブアミド」を参照 ワインレブアミドは、N-メトキシ-N-メチルカルボン酸アミドのことである。ワインレブアミドは有機金属化合物と反応してプロトン化されたケトンを与える(ワインレブのケトン合成)。五員環キレート中間体が高い安定性を示すため、ケトンの収率が高く、この方法は広く受け入れられている。[要出典]量子化学計算により安定な四面体型付加体ができやすいことがわかっており、これは実験結果と一致する。ワインレブアミドとアルキルリチウムやグリニャール試薬との反応性の高さは四面体型付加体のキレートによる安定化、もっといえば付加体に至る遷移状態の安定性に由来している[要出典]。四面体付加の反応式を以下に示す。
※この「ワインレブアミド」の解説は、「四面体型中間体」の解説の一部です。
「ワインレブアミド」を含む「四面体型中間体」の記事については、「四面体型中間体」の概要を参照ください。
ワインレブアミドと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- ワインレブアミドのページへのリンク