ローマ的解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 15:47 UTC 版)
ガリア人の信仰について、カエサルは以下のように説明している。 「 神々の中ではメルクリウスを最も崇拝する。その像も一番数が多く、種々なわざを工夫したものと信じ、旅行者を導くもの、富の獲得や商売に大きな力を持つものと思っている。これに次ぐのはアポローやマルスやイゥピテルやミネルウァである。それについては他の人々と同じような考え方をしている。アポローは病気をはらい、ミネルウァは仕事やわざの手ほどきをし、イゥピテルは大空を支配し、マルスは戦争をつかさどる。戦争しようとする時にはその戦争の獲物をこの神に捧げる。勝てば捕まえた動物を犠牲にし、他の獲物を一箇所に集める。これらの物を積み重ねた山が多くの部族では神聖な場所に見られる。 」 —カエサル(ガリア戦記より) カエサルの説明を言葉通りに受け取れば、ガリア人はローマ人と同様に「メルクリウス」や「アポロー」といった神々を信仰していたように見えるが、これは正しくない。カエサルはガリア人の神を指して、それに近い性質をもつローマの神の名前を使用する事でローマ人への説明を行っている。こうしたローマ人による他の民族の神の捉え方をローマ的解釈(ドイツ語版)と呼ぶ。カエサルが挙げた神の中で「マルス」がテウタテスを指すものと考えられており、そうだとすれば続く戦の神に捧げた儀式についての記述もテウタテスへのそれを説明した物という事になる。 テウタテスとマルスとの対応は固定的なものではなく、ローマによるガリア平定後に作られた石碑の碑文にはテウタテスはマルスだけでなくメルクリウスとも同一視された事が示されている。後述する『コメンタ・ベルネンシア』においても、テウタテスはマルスともメルクリウスとも同一視されている。またトウティオリクス(Toutiorix)をテウタテスの異形であると見なすのであれば、アポロとも同一視された事になる。しかしテウタテスはメルクリウスやアポロよりもマルスとの同一視を示す証拠が多い。
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