ルーベンスからの影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 07:42 UTC 版)
「ヤーコブ・ヨルダーンス」の記事における「ルーベンスからの影響」の解説
ヨルダーンスはルーベンスから非常に大きな影響を受けた画家である。ルーベンスが油彩画を制作する下準備としてルーベンス自らが描いた下絵を大きく引き伸ばす仕事をヨルダーンスが請け負ったこともあった。そしてルーベンスの死後、ヨルダーンスはアントウェルペンでもっとも尊敬される画家の一人となっている。ルーベンスと同じくヨルダーンスも暖色系の色使いで自然主義 (en:Naturalism (arts)) の絵画を描き、キアロスクーロとテネブリズムといった明暗法の技術を多用した。ヨルダーンスは単なる肖像画家ではなく、モデルの人間性までを表現することに秀でた画家だった。ヨルダーンスが描いた伝統的な暮らしをおくる農夫や、オランダの教訓を題材とした大規模な風俗画はヤン・ステーンにも影響を与えている。ヨルダーンスは決して特定の絵画ジャンルを専門とした画家ではなかったが、ことわざや格言をもとにした、様々な年齢層の人々がさんざめく祭りの宴会の情景を何度も好んで描いた。これらの作品には猥雑さの要素も含まれている。ヨルダーンスは画家としてのキャリアを通じてルーベンスが描いたモチーフを下敷きにすることがあったが、ルーベンスよりも写実性を追及する傾向にあり、多数の人物を画面に配する構成や風刺的主題を、宗教画や神話画であっても好んで採用した。『プロメテウス』(1640年頃)はルーベンスと、ルーベンスと交流のあった画家フランス・スナイデルス両人の影響が見られる作品である。ルーベンスとスナイデルスの合作『縛られたプロメテウス』(1611年 - 1612年)をもとにして描いた作品だが、ヨルダーンスの作品はより希望が見られる構成となっている。
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