ループものの類型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 08:09 UTC 版)
ループものには幾つかの分類法があるが、浅羽通明はループものに留まらない他のジャンルと比較するための分類法として、ループものを以下の4種類に分類している。これは受け手の感情移入の対象となる登場人物(主人公)が時間のループをどのように受け止めて行動し、受け手にどのような形で願望の充足や不安の解消といった作用をもたらすのかという観点による分類である。この分類では、登場人物が物語の進行に従ってこれらの状態を遷移する場合や、受け手がどの登場人物の視点に立って作品を読み解くかによって解釈が変化する場合もある。 主人公がループをネガティブに受け止め、苦難する姿を描く 主人公は理不尽な形で閉じた時間の中に取り残され、リセットされてしまう努力や蓄積を苦痛と受け止め、先に進めないことに対する絶望や恐怖を味わう。 主人公がループをポジティブに受け止め、成長する姿を描く 主人公は与えられた無限の時間を長いモラトリアムとして受け止め、ループする時間の中で成功や失敗を繰り返したり、己を自省したりする機会を得たりしながら成長し、自己実現を成し遂げようとする。当初は理不尽な状況に苦しんでいた主人公が、改心や精神的な成長を経てループから脱出するという教訓的な内容であることが多いが、これとは対照的に、成長できずに破滅するというパターンの作品もある。 主人公がループを特定の問題の解決に用いる 主人公はループの中で解決しなければならない具体的かつ単純な目標や心残り(シングル・イシュー)を抱えており、繰り返される状況の中でゲーム的な試行錯誤を繰り返したり、解決のための鍛錬を行ったりする。ループの元凶となっている根本的な問題が主人公によって解決されたり、自発的にループを引き起こしている登場人物が目的を達成したりすることで、ループが終了する。 こうした作品では、繰り返される時間の中で問題を解決できない停滞感と、それを解決した時の爽快感が描かれ、ネガティブな状況とポジティブな動機は表裏一体のものとなる。 主人公がループする状況そのものを楽しむ 輝かしい人生の至福な時間がループされ、主人公はそれを肯定的に受け止めて享受する。この場合のループは問題解決の手段ではなく、目的そのものである。ループを繰り返している原因や脱出方法には恋愛感情が関係してくるパターンも多く見られる。
※この「ループものの類型」の解説は、「ループもの」の解説の一部です。
「ループものの類型」を含む「ループもの」の記事については、「ループもの」の概要を参照ください。
- ループものの類型のページへのリンク