リンカーンの予知夢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 15:57 UTC 版)
「リンカーンの幽霊」の記事における「リンカーンの予知夢」の解説
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンは自分が暗殺されることを予期していたと考えられている 。彼の友人で伝記作家のウォード・ヒル・ラモン(英語版)によると、リンカーン暗殺事件の3日前、リンカーンはその10日ほど前に自分が見た夢の内容をラモンらに話していた。 「 私の周りには死のような静寂が広がっていた。それから、大勢の人々が押し殺してすすり泣きをするような声が聞こえた。私はベッドを出て階下をさまよっているような気がした。そこにも静寂の中に痛ましくすすり泣く声があったが、会葬者の姿は見えなかった。私は部屋から部屋へと歩き回った。人の姿は全く見当たらなかったが、至る所に同じ苦悩の悲しげな声があった。全ての部屋が明るかった。目にするものはいずれも見覚えのあるものだった。しかし、誰もが胸が裂けるかのように嘆き悲しんでいるのは? 私は訳が分からず不安になった。これらはいったい何を意味しているのだろうか? これほど謎めいていて不気味な事態の原因はぜひとも探らねばならぬと決意して、歩き回った末に「イーストルーム(英語版)」まで来て、中に入った。そこで身の毛もよだつ驚きに遭遇した。目の前に棺の安置台(英語版)があり、葬儀服を着た死体がのせられていた。周りには護衛の兵士たちが立っていた。人々が群がり、白い布でおおわれた遺体を痛ましげに眺め、泣いていた。私は兵士の一人に「ホワイトハウスで誰が死んだのかね? 」と尋ねた。彼は「大統領です」「暗殺者に殺されました」と答えたのだ。その後に群集から大きな悲しみ嘆く声が巻き起こり、私は目が覚めた。その夜はもう眠れなかった。ただの夢なのだが、それ以来、私を妙にいらだたせている。 」 暗殺される当日にリンカーンはボディーガードのウィリアム・H・クルック(英語版)に三夜連続で自分が暗殺される夢を見たことを伝えていた。クルックはフォード劇場でこの日の夜に上演される予定の演目『われらのアメリカのいとこ(英語版)』を観劇しないように、それが無理にしてもせめて自分も予備のボディーガードとして同行させてくれるように説得しようとしたが、リンカーンは妻のメアリーと夫婦で行くことを約束していると述べた。リンカーンは劇場に向かう時、クルックに「さようなら。クルック」と言った。クルックによると、彼がそう言ったのは初めてだった。リンカーンはそれまでは常に「おやすみ。クルック」と言っていた。
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