リビング・ニュースペーパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 05:05 UTC 版)
「連邦劇場計画」の記事における「リビング・ニュースペーパー」の解説
この『エチオピア』という劇は、FTPの長であったフラナガンと彼女のスタッフたちが創案した「リビング・ニュースペーパー(生きた新聞)」と呼ばれる新しいタイプの演劇であった。リビング・ニュースペーパーでは、取材担当者やジャーナリスティックな劇作家らからなるチームが脚本を作った。彼ら彼女らは、新聞から記事を、特に社会を興奮させ議論を起こしている出来事の記事を切り抜いた。例えば苦境にある全米の農村のための農業政策、梅毒の検査、テネシー川流域開発公社の事業、住宅政策の不公平などである。こうした新聞の切り抜きをもとにスタッフが取材し、取材結果をめぐってスタッフや劇作家が討論し場合によってはさらに深い取材をしなおし、最終的に演劇に書き起こされた。これらの劇は観衆に事件の背景や歴史を説明し、しばしばリベラル寄り・進歩的な政策や解決方法の弁護を行った。たとえば『エチオピア』が上演できなかったため事実上の第一作となった1936年の『埋められたAAA(Triple-A Plowed Under)』は、ニューディール政策のうち農民救済のために制定された農業調整法(Agricultural Adjustment Act、AAA)を、連邦最高裁が無効と判断したことをめぐって起きた農民デモを描いたもので、農民の苦境の歴史を説明し連邦最高裁を非難する内容であった。リビング・ニュースペーパーはプロパガンダ色が強く、しばしば内容をめぐって賛否両論を巻き起こしたが、観衆には非常に人気があった。演劇の形態としても、リビング・ニュースペーパーはFTPの残した最も永続的な遺産といえる。
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