ラファエロの真作かどうかの議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 17:51 UTC 版)
「カーネーションの聖母」の記事における「ラファエロの真作かどうかの議論」の解説
1991年の時点で、当時12代ノーサンバーランド公ラルフ・パーシー (en:Ralph Percy, 12th Duke of Northumberland) が所蔵していた『カーネーションの聖母』を、ルネサンス美術の専門家でロンドンのナショナル・ギャラリーのキュレータだったニコラス・ペニー が、間違いなくラファエロの真作であると鑑定している。しかしながらラファエロの研究者たちは、この作品が1853年以来アニック・カースルに存在していたことを知っており、研究者たちの間では『カーネーションの聖母』は現存しないラファエロのオリジナルからの、非常によくできた模写の一つだと考えられていたのである。 大衆への大々的な発表の後に、『カーネーションの聖母』はノーサンバーランド公ラルフから3,488万ポンドでナショナル・ギャラリーか買い取った。このときの買収には文化遺産宝くじ基金 (en:Heritage Lottery Fund) とナショナル・アート・コレクション・ファンド (en:The Art Fund) が資金協力をしている。そしてこの莫大な資金供出の見返りとして、イングランドのマンチェスター、ウェールズのカーディフ、スコットランドのエディンバラ、イングランドのバーナード・カッスルとイギリス各地で展覧会が開催された 2006年の夏にデジデーリオ・クルッツィらが、ペニーによる真贋鑑定とナショナル・ギャラリーが公表したペニーの鑑定に対する擁護意見は、信頼できない根拠と誤解釈に基づく不十分なものだと主張しはじめた。2007年にはイタリアルネサンスを専門とするアメリカ人美術史家ジェームズ・ベック (en:James Beck (art historian)) が、その死後に出版された『ドゥッチョからラファエルまで (From Duccio to Raphael: Connoisseurship in Crisis)』で、『カーネーションの聖母』をラファエロの真作とするナショナル・ギャラリーの見解に疑義を呈している。
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