ラジアルタービン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 14:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ラジアルタービン(英語:Radial turbine)は、タービンの一形式。
概要
軸流タービンではガスが軸平行方向に流入してブレードと衝突してガスの持つエネルギーを回転体に伝えるが、ラジアルタービンではガスは径(ラジアル)方向に流入してランナと呼ばれる羽根車にエネルギーを伝える[1]。 ガスタービンに適用した場合、リヴァースフロー燃焼室と相性が良く、構造が単純で部品点数を削減可能なことも相まって標的機等の一部の無人機や誘導弾用のエンジンでも採用される。小型軽量化に適した構造なので整備の不要な自動車用のターボチャージャー等に使用される。他にも水力発電、揚水発電、火力発電、地熱発電、コジェネレーション発電用の蒸気タービンにも使用される[2]。
また初期の模型用ジェットエンジンでは自動車用のターボチャージャーを流用した例もあり、その場合にもこの型式のタービンが使用された。
長所
- 一般的な同出力の軸流タービンと比較して単段あたりのガスの膨張比はラジアルタービンの方が大きくできるので大幅に高い効率が得られる[1][3]
- 一体で製造されているので比較的堅牢
- 消失模型鋳造法により、一体鋳造で製造できるので廉価に製造できる
短所
- 多段化が困難であることから大半は単段式であり、大型化や高圧と低圧の圧縮機を同軸上で駆動する構造には適さない
- 熱膨張で不均一に膨張するので大型化には適さない
- 軸流式とは異なり、一体で成型されているので侵食した部品の部分的な交換が困難
用途
関連項目
出典
- ^ a b “ラジアルタービンを用いた省エネ化技術 (PDF)”. 2017年2月12日閲覧。
- ^ “蒸気用ラジアルタービン”. 2017年2月12日閲覧。
- ^ 中・小型の軸流タービンの断熱効率は最大でも40%程 度であるのに対してラジアルタービンでは80~85%に達する。
文献
- 谷田好通、長島利夫『ガスタービンエンジン』朝倉書店、2000年10月20日。ISBN 978-4-254-23097-0。
- 『ターボ機械入門編新改訂版』ターボ機械協会、日本工業出版、2005年。 ISBN 9784819017114。
- 『蒸気タービン』ターボ機械協会、日本工業出版、2013年10月1日。 ISBN 9784819025126。
- ターボ機械協会誌,2003年 9月号
ラジアル・タービン (Radial Flow Turbine)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 15:07 UTC 版)
「ジェットエンジン」の記事における「ラジアル・タービン (Radial Flow Turbine)」の解説
ラジアル・タービンは遠心圧縮機と構造や外観がほとんど同じであるが、ガスの流れる方向は正反対である。遠心圧縮機のインペラーに対応するものはラジアル・タービンではタービン・ホイール(Turbine Wheel)に相当する。遠心圧縮機のディフューザに対応するものがラジアル・タービンのノズル(Nozzle)に相当する。ラジアル・タービンのガス流体はタービンの外から中心に向かって流れ、タービン・ホイールを回転させて直結するエンジン・シャフトを回転させる。ラジアル・タービンは軸流タービンと比べ構造が簡単で製作も容易であるが、大型化するとタービン・ホイールに働く遠心力が過大になるばかりでなく、作動流体にも遠心力によって進行方向と逆向きの力が過大になり効率が悪くなる。このような理由から航空ジェットエンジンにラジアル・タービンを採用することは最近ではなくなった。
※この「ラジアル・タービン (Radial Flow Turbine)」の解説は、「ジェットエンジン」の解説の一部です。
「ラジアル・タービン (Radial Flow Turbine)」を含む「ジェットエンジン」の記事については、「ジェットエンジン」の概要を参照ください。
- ラジアル・タービンのページへのリンク