モンパルナスのカフェ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 15:38 UTC 版)
「モンパルナス」の記事における「モンパルナスのカフェ」の解説
モンパルナスのカフェやバーは芸術家たちがアトリエの暑さや寒さをしのぐ場所であると同時に待ち合わせ場所・溜まり場であり、アイデアが孵化し熟考される場所だった。モンパルナスのナイトライフの中心であるカフェはヴァヴァン交差点(Carrefour Vavin、今はパブロ・ピカソ広場と改名されている)に集まっていた。モンパルナスの絶頂期、ル・ドーム(Le Dôme)、クロズリー・デ・リラ(La Closerie des Lilas)、ル・セレクト(Le Select)、ラ・ロトンド(La Rotonde)、ラ・クーポール(La Coupole)など、観光名所となった今もなお営業して当時の面影を残しているこれらのカフェは、腹をすかせた芸術家が数サンチームで一晩テーブルに居座ることのできる店だった。彼らがここで寝てしまっても、ウェイターたちは彼らを起こさないようにと言われていた。半ば知力で、半ばアルコールの力で激論が起こることは普通で、殴り合いの喧嘩に発展しても警察をわざわざ呼ぶ人はいなかった。もし飲み代を払えなくても、ラ・ロトンドの経営者ヴィクトル・リビオン(Victor Libion)などは代わりにドローイング(素描)などを受け取り、金ができるまでそれを預かっていた。カフェの壁がこうした画家たちのドローイングで埋まるという、今なら世界の名だたる美術館のキュレーターたちが嫉妬する光景がこの時期のモンパルナスのカフェにはあった。
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