モルウェン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 05:46 UTC 版)
バラグンドの娘にしてフーリンの妻。バラヒアの妻エメルディアとともにドルソニオンから脱出した1人で、エレズウェン「エルフの輝き」と呼ばれる程の美貌の持ち主であった。 かの女自身はベオル家の生まれだが、夫フーリンがモルゴスに捕らえられたあともハドル家の一員としてドル=ローミンにとどまり続けた。周辺を好き放題に荒らしまわる東夷たちも、この「ドル=ローミンの奥方」のことは恐れ、近づこうとしなかった。しかし実際のモルウェンの暮らしは貧しいものであり、フーリンの親戚で東夷ブロッダの妻になったアイリンの援助をひそかに受けていた。 息子トゥーリンをドリアスのシンゴル王に預けたモルウェンは、その後フーリンが遺していった次女のニエノールを産んだ(長女ラライスは3歳で病死している)。母娘はドル=ローミンでしばらく貧困に耐えていたが、周辺がいくらか安全になると、ドリアスを訪れてシンゴルの庇護下に入った。しかしトゥーリンはすでに成長して旅に出ており、親子の対面はかなわなかった。 やがて名高い戦士モルメギルの正体がトゥーリンであることが知れると、モルウェンはなかば狂乱したように、息子を求めて飛び出してしまった。シンゴルの大将マブルングは、衛士たちを連れてかの女を追ったが、その衛士の中に変装したニエノールまでが紛れていた。やむなくマブルングは2人を護衛しながら行動することにしたが、竜グラウルングの襲撃で母娘は行方不明になってしまった。マブルングはモルウェンを探し続けたが、何の手がかりも得られなかった。 後になって、モルゴスのもとから解放されたフーリンが、娘ニエノールの身投げした崖カベド・ナイラマルスを訪れると、すっかり年老いたモルウェンが子供たちの墓の前でかれを待っていた。日没とともにかの女は息絶え、フーリンは妻のために墓を作って去った。 ブレシルの予言者グリアフインの歌には「不運なる者たちの墓石は、海が陸地を飲み込もうと、覆されることはない」とある。そして、ベレリアンドの地が引き裂かれて海に沈んだ後も、かの女たちの墓はトル・モルウェンの小島となって残ったのだった。
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