モジョケラトプス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 04:17 UTC 版)
モジョケラトプス・ペリファニア Mojoceratops perifania はロイヤル・ティレル古生物学博物館やアメリカ自然史博物館所蔵の複数個体分の部分的な頭骨から2010年、ロングリッチによって記載され、それに基づいて他の5個体分の標本も同種と見なされた。モジョケラトプスとされた全ての個体はカナダのダイナソーパーク累層から産出されたものだった。属名のモジョはアフリカ系アメリカ人文化のスラングで(ドラッグなどに)「虜になる、溺れる」という意味のモジョ に由来し、種小名は古代ギリシャ語で「目立つプライド」を意味する。どちらも派手なフリルに因んでいる。この種は他の研究者たちがカスモサウルスのものであると考える頭骨に基づいている。 AMNH 5401と呼ばれる一個体分のほぼ完全な頭骨にはもともとカスモサウルス・カイセニ Chasmosaurus kaiseni の学名が与えられていた。C. カイセニはモジョケラトプスと同じ特徴をもっていると考えられた為、M. ペリファニアの同物異名とされた。しかしながらAMNH 5401 には縁頭頂骨 (ホーンレット) が保存されておらず、別のカスモサウルスの種のものをもとに人工的に補われていた。このことが過去10年間科学者達の混乱を招き続けていた。縁後頭骨はカスモサウルスのようなケラトプス類の同定において非常に重要な決め手となる部分である。そのためC.カイセニは疑問名であり、M.ペリファニアの同物異名ではないと考えられた。ロングリッチはまた、エオケラトプスの模式標本がモジョケラトプスにあてはまるのではないかとも指摘していた。しかしその標本はあまりにも保存状態が悪く、更に亜成体であると考えられる個体で、以前から疑問名とされていた。信憑性に乏しいということで、こちらもM.ペリファニアの同物異名ではないと考えられる。 2016年のカスモサウルスのオーバービューでは、C.カイセニとエオケラトプスは双方とも、ホロタイプとしては保存が部分的過ぎるため、種不詳のカスモサウルスであるということで纏まっている。 ホロタイプの原記載やモジョケラトプスとされた他の頭骨標本について、複数の研究者たちは出版物の中で本属の有効性を疑問視している。例えば、2011年、 メイドメントとバーレットはモジョケラトプスについていかなる独自性も見出すことはできず、カスモサウルス・ルッセリの同物異名ではないかと指摘している。キャンベルらは2016年に著したカスモサウルスの種に関する分析の中で、メイドメントらに賛同した上、モジョケラトプスの固有形質とされていた頭頂骨の血管の溝はC.ルッセリのホロタイプや他のカスモサウルスの標本においても散在的にも見受けられると付け加えた。これらの主張はモジョケラトプスが単なるC.ルッセリの成長段階に過ぎないことを示唆している。
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