メーデイアの魔法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 09:25 UTC 版)
ロドスのアポローニオスによると、メーデイアは女神ヘカテーからあらゆる魔法の薬草とその扱い方を教わっており、彼女が薬草を用いて行う魔法は激しく燃える炎の勢いを和らげ、川の流れを堰き止め、星々や月の運行を妨げることが出来た。そしてメーデイアは良からぬ研究をするたびに、月の女神セレーネーを恋の魔法でエンデュミオーンのいる地上に引き下ろし、夜空から月明かりを消し去ったという。また冥府の住人を呼び出したり、幻を見せることもお手の物だった。シケリアのディオドーロスも、メーデイア自身が研究して習得した薬草学と薬学の知識に加えて、母ヘカテーや姉キルケーが得た知識も等しく学んでいたとしている。 メーデイアの薬草の知識の中でも特筆されているのはプロメーテイオンと呼ばれる薬草である。この薬草はカウカーソスの山頂に縛られたプロメーテウスが不死身の大鷲に肝臓を食われた際に、大地に飛び散ったイーコールから生まれたもので、この薬草から作った魔法の薬を真夜中にヘカテーに供儀した後、身体や武器・盾に塗りつけると、1日の間だけ刃や火から身を護り、無双の力を得ることが出来た。ただし供儀の最中にヘカテーに対して礼を失するとその限りではない。供儀においては1人で黒衣をまとい、円形の穴を掘り、その中で雄の羊を屠殺した後、穴のそばに積み上げた薪の山に置いて火をつけ、ヘカテーに捧げる。さらに蜂蜜を注いで女神を慰撫しつつ加護を祈願する。するとヘカテーが供物を受け取りに現れるので、薪の山から戻って来る。その際に女神の足音や地下の犬たちの鳴き声が聞こえても決して後ろを振り返ってはならない。さもなくば努力が水泡に帰すだけでなく、無事に帰ってこれないとメーデイアは語っている。
※この「メーデイアの魔法」の解説は、「メーデイア」の解説の一部です。
「メーデイアの魔法」を含む「メーデイア」の記事については、「メーデイア」の概要を参照ください。
- メーデイアの魔法のページへのリンク