マリアンナ・ホーンのXファクターとダブルコピー牝馬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:47 UTC 版)
「競走馬の血統」の記事における「マリアンナ・ホーンのXファクターとダブルコピー牝馬」の解説
オーストラリアの血統研究家、マリアンナ・ホーンは1997年、『エックス・ファクター - それは何か、どのように見つければよいか:遺伝性の心臓サイズと競走能力の関係性(X FACTOR:What it is & how to find it:The Relationship Between Inherited Heart Size and Racing Performance)』において、競走馬の能力に重大な影響を及ぼす心臓のサイズ(厳密に言うと、心臓の一回拍出量)は、性染色体のうちメスなら2本オスなら1本持つX染色体によって決定されており、必然的にその遺伝は特殊な経路のみに限定される伴性遺伝となることを明らかにした。 既に複数の遺伝学者によって、「子馬の心臓のサイズに与える影響は、父馬よりも母馬の方が大きく、父馬の影響は息子よりも娘のほうが大きい。したがって、馬の心臓の容量はX染色体による伴性遺伝に依存する」という旨の研究が発表されており、ホーンはこれを現実の競馬と対照して一般向けにわかりやすく説明したものである。 Y染色体は父(XY)から息子(XY)へのみ受け継がれるのに対し、X染色体の方は、父(XY)から娘(XX)へ、あるいは母(XX)から(50%の確率で)息子(XY)および娘(XX)へ、という径路で伝えられるため、X染色体についての伴性遺伝は、血統表のおよそ3/4を占める部分(X染色体径路、もしくは伴性血縁と呼ぶ)の祖先しか関わってこない。ホーンは特に重要な牝馬はXXの両方に巨大心臓遺伝子をホモ接合で持つとし、これを「ダブルコピー牝馬」と命名した。 この理論はさらに、父母双方のX染色体径路上に、優れた名牝やフィリーサイアーを複数配置(場合によって近親交配)した牝馬は、しばしば自身ないしその産駒や孫において極めて高い能力を発現するという理解へと発展を見せた。 その後、シドニー大学のスティール博士らは摘出せずに心臓サイズを比較するための数値「ハートスコア」を考案し実際の調査を展開した。ホーンは続刊でそれをプリンスキロ、ウォーアドミラル、ブルーラークスパーおよびマームードの4頭に由来する、「4大ハートライン」に分類することができるとしている。
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