マソラ本文に見られる特有の現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 06:18 UTC 版)
「マソラ本文」の記事における「マソラ本文に見られる特有の現象」の解説
マソラ本文にはさまざまな特有の現象が見られる。マソラ本文はこのような現象も忠実に伝承している。理由がある程度推測できるものもあるが、なぜそのようにするのか理由のはっきりしないものも多い。写本を作成するときにはこれらもすべて同じように写し取ることとされている。 異常な文字決まった場所で特別な書き方をする文字がいくつかある。 大きすぎる文字 特定の箇所で特別大きく書く文字。創世記の初めの文字、歴代誌のはじめの文字、律法全体のちょうど真ん中にあるとされる文字など。 小さすぎる文字 特定の箇所で特別小さく書く文字。その文字がある本文と無い本文の両方を保存しようとした工夫の跡ではないかとされる。 つり上がった文字 特定の箇所で通常より上の位置に書く文字。小さすぎる文字と同様にその文字がある本文と無い本文の両方を保存しようとした工夫の跡ではないかとされる。 ちぎれた文字 逆転した文字 閉じたメム、開いたメム(注:メム [mem] は/m/の音価を持つヘブライ文字) 点 いくつかの特定の箇所で文字の上に点を打ってある。古代の写本の中に訂正の意味で文字の上に点を打った事例があるため、この場合も、訂正の痕跡ではないかとする説がある。 空白(ビスカー) 分離符 縦に書かれた線である。写本を作成する途中で、「ここまで写し終えた」という意味で付けられた印をそのまま受け継がれたものではないかとされている。 区分節区分 段落区分 ケリーとケティーブ (Qere and Ketiv) 本文と異なった単語や文を欄外に書いて「書かれていないが読め」として欄外の注記にある本文を読ませようとするものである。永遠のケリーといったものもある。 写本家(ソーフェリーム)の訂正、写本家の省略 母音記号 本来のヘブライ語には母音を表す文字は存在しない。しかしそれでは読み方がわからなくなるため、後になって母音を表す記号が考え出された。ティベリア方式によるもの(ティベリア式発音)とバビロニア方式によるもの (Babylonian vocalization) とがある。 アクセント記号 マソラ聖書本文の周囲に書かれた注釈のことをいう。大マソラ、小マソラ、縁のマソラなどに分かれている。ある書が全体で何文字あるか、あるいは全体でいくつの単語があるのか。ある単語は全部でいくつあるか。ある書の真ん中の文字はどれになるのか。そのほか写し間違いが起きやすい箇所への注記などを含んでいる。
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