ポルノ批判論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 15:26 UTC 版)
1980年代には保守化・右傾化の波に乗ったアメリカ合衆国のロナルド・レーガン大統領やモラル・マジョリティ、キリスト教原理主義者らによるポルノ批判が激しくなった。レーガンは反ポルノ法(チャイルド・アビューズ法)を成立させた。日本では1970年代に、日本共産党の宮本顕治委員長が「11PMはポルノ番組だ」と批判したことがある。また1980年代には、山田洋次が「ポルノを見る人は、働くのが嫌いな人」とFMラジオで発言した。これをたまたま聴いていた若松孝二監督は、強い怒りを感じたという。 グロリア・スタイネムは、性描写を含む表現物の中でも男尊女卑、女性差別的な価値観に基づくポルノと、男女平等で友好的な性愛を追求するエロティカを区別した。そして前者を批判しつつ、エロティカという形で女性が性差別的な価値観を押し付けられることなく、「ポルノを楽しむことができる」可能性を提示した。 ポルノと現実での事象の関係として、性犯罪・性被害を誘発するという批判もある。また、現実の性被害を喚起するだけではなく、ポルノの製作現場において被写体となる女性が性被害を受けることがしばしばあることや、不快感のある人に対してポルノを強制的に見せることが批判の対象となる。保守的な反ポルノ派のキャサリン・マッキノン、アンドレア・ドウォーキンはポルノに強硬に反対した。アンドレア・ドウォーキンはそもそも性行為自体が「男性が女性を支配する」という男性優位的な構造を持っているとしている。 ポルノによる脳への悪影響を強烈に指摘した『インターネットポルノ中毒 やめられない脳と中毒の科学』(ゲーリー・ウィルソン原著)が2021/3/31に発売され、仕事が大嫌いで鬱になっていた25歳の大学中退者がポルノを断つことで人生を激変・急変させたことなどの例を用いるなどしてインターネットポルノ視聴が脳と体に及ぼす影響を解き明かす内容が執筆された。
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